経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行した糖尿病患者を、薬剤溶出ステント(DES)を使用した例と、従来のベアメタルステント(BMS)を使用した例に分け、長期成績を比較した結果、3年後の死亡率、心筋梗塞発症率、再狭窄率のいずれについてもDESの方が優れていた。この結果はCirculation誌11月25日号に掲載された。
糖尿病患者の虚血性心疾患発症率は高く、米国ではPCIを受ける患者の3分の1に上るというデータもある。またPCI後の再狭窄率も高い。糖尿病に限定しない研究では、幾つかのランダム化試験でDESの方がBMSよりも再狭窄率が低いというデータが得られているが、糖尿病患者を対象とした大規模研究はほとんど実施されていない。いくつかの小規模な研究はあるが、長期的な予後に関して一致した結論は得られていない。
そこで米ハーバード大の研究者らは、糖尿病患者についてDESとBMSの効果を比較する目的で、マサチューセッツ州にある、連邦立を除くすべての病院が参加するMassachusetts Data Analysis Center(Mass-DAC)のデータベースを利用して、大規模な前向き観察研究を実施した。
今回対象としたのは、Mass-DACデータベース中、21病院で138人の術者によりPCIを受けた2万1045例のうち、3年間の追跡ができた糖尿病患者5051例。66.1%がDES、33.9%がBMSの留置を受けていた(p<0.001)。
循環器プレミアム:新着文献
Circulation誌から
糖尿病患者のPCI後の予後、DESの方が良好
約5000例の長期追跡研究で明らかに
2008/12/01
岸野 美奈子=滋賀県赤十字血液センター
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