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J Am Coll Cardiol誌から
β遮断薬による徐脈で高血圧患者のイベントリスクが上昇
「積極的適応となる合併症がない場合は推奨されない」とKaplan氏

 安静時の心拍数が心血管疾患の独立した危険因子になることは、急性心筋梗塞、高血圧、冠動脈疾患などで証明されてきた。心拍数を減少させることは有益なはずで、例えば運動により安静時心拍数が減少すれば生存率は改善する。無作為化臨床試験(RCT)のメタ解析では、心筋梗塞の急性期・慢性期において、β遮断薬による心拍数減少と、心筋梗塞サイズや長期的な死亡率の減少が密接に関連した。心不全や狭心症を対象としたRCTのメタ解析でも、心拍数減少による同様の効果が示されている。

 このようなβ遮断薬の心保護作用は心拍数減少に起因するもので、下げれば下げるほどよいのではないかと言われてきた。しかし、高血圧患者へのβ遮断薬投与による心拍数減少が有益かどうかは、分かっていなかった。そこで、Bangaloreら米国Columbia大学の研究グループは、高血圧を対象に第1選択薬としてβ遮断薬を投与したRCTの系統的レビューを行い、その結果を10月28日付けのJ Am Coll Cardiol誌に報告した。

 MEDLINE/EMBASE/CENTRALデータベースから、高血圧を対象に第1選択薬としてβ遮断薬を投与して最短1年間観察し、心血管イベントを評価していた1966~2008年のRCT、22本を抽出した。その中で心拍数に関する解析を行っていたものが9本あり、これが今回の解析対象となった。合計6万8220例の患者が登録されており、50%がβ遮断薬、6%がプラセボ、44%が他の降圧薬に無作為に割り付けられていた。β遮断薬群の内訳は78%がatenolol、9%がoxprenolol、1%がpropranolol、残りの12%はatenolol/metoprolol/pindololの割り付けだった。対照群では12%がプラセボ、13%がアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、11%が利尿薬、64%がCa拮抗薬だった。

 解析対象患者の平均年齢は58歳、平均観察期間は3.5年間だった。β遮断薬群と対照群では、年齢、観察期間、ベースラインの血圧に差はなかった。β遮断薬群での収縮期血圧は13.5%(166.2±14.6→143.8±10.6 mmHg、p<0.0001)、拡張期血圧は14.2%(100.4±6.8→86.1±6.7 mmHg、p<0.0001)、それぞれ有意に低下した。これは、対照群(収縮期血圧13.1%低下;166.7±14.7→144.9±17.3 mmHg、拡張期血圧13.3%低下;100.4±7.3→87.0±7.7 mmHg、ともにp<0.0001)と同等だった。

 心拍数はβ遮断薬で12%、有意に低下した(75±3→66±4 bpm、p<0.0001)。一方、対照群では変化しなかった(75±3→74±3 bpm)。

 以下のアウトカムに対する心拍数減少の効果判定は、解析の不均一性を克服するため、いずれもrandom effects modelを使用した。出版バイアスはいずれも陰性だった。

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