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NEJM誌から
急性心筋梗塞でもDESがBMSに勝る
Propensity Scoreを用いたリアルワールドデータの解析結果

 これまで、薬剤溶出ステントDES)とベアメタルステントBMS)を比較する多くの無作為化比較対照試験(RCT)は、急性心筋梗塞AMI)を除外していた。AMIを対象にDESとBMSを比較したRCTは比較的小規模で(300~700症例)、追跡期間も1年以下と短かった。

 それらの報告では、DESは再血行再建率を有意に低下させたものの、1年時点での死亡率や再梗塞率には有意差はなかった。また観察研究では、ST上昇型MIではDESの方が2倍の死亡率を呈するなど、相反する結果が入り混じっていた。

 今回、Mauriらハーバード大の研究グループは、地域住民ベースのコホート研究を対象にDESとBMSの比較を行った。ステントの種類は無作為化されていなかったので、バイアスを最小化するためにPropensity Score(次ページの訳者註参照)を用いて解析した。

 米国マサチューセッツ州においては、National Cardiovascular Data Registry data-collection instrumentを通じて、ハーバード大のMassachusetts Data Analysis Centerに全PCIのデータが集積される。その中から2003~04年のMassachusetts Data Analysis Centerのデータとともに、Massachusetts Registry of Vital Records and Statisticsによる2年時点の生存率を解析し、割り付け後2年以内の全死亡を一次アウトカムとした。生存率についてはさらに、Social Security Death Index Interactive Search Web siteを用いて確認した。

 二次アウトカムは、Massachusetts Data Analysis Center databaseから解析した、心筋梗塞の再発と再血行再建の施行とした。

 全PCIの2万1045例の40%、8440例がAMIだった。基準に適合する7217例のうち4016例がDES、3201例がBMSで治療された。DESのうち71%はシロリムスステント単独、27%はパクリタキセルステント単独、2%は両方のステントを用いていた。3379例がST上昇型MI、3838例がST非上昇MIだった。

 Propensity Scoreマッチング前の患者背景では、糖尿病、脂質異常症、高血圧、非ST上昇型MI症例に対して、DESがBMSより多く使用されていた。DES群の方が、治療血管数、治療病変数が多かった。心原性ショック、ST上昇型MI、緊急、ハイリスク病変患者ではBMSが多く使用されていた。

 マッチング前の比較では、2年間の死亡率、心筋梗塞再発率、標的血管の再血行再建術の施行率については、DES群がBMS群より有意に低値だった。Propensity Scoreを用いて臨床背景、手技、病院経営、保険情報などの63指標についてマッチさせると、DES、BMSともに2570例ずつの群ができた。

 このモデルに対する(検定しようとしている効果に関する正確さを示す)曲線下面積(AUC)は0.68だった。Propensity Scoreを用いると両群の背景因子の違いは10%以内となり、交絡因子の多くを除くことができた。ST上昇型MIではPropensity Scoreにより1298例がマッチしAUCは0.67となった。ST非上昇型MIでは1228例がマッチしAUCは0.66となった。

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