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J Am Coll Cardiol誌Online版速報
NYHA I~IIの心不全に対してもCRTは有効
REVERSE研究。適応拡大には追い風となる結果だが・・

 心臓再同期療法CRT)が、NYHA III~IV度の心不全患者のQOLや心不全重症度、運動耐容能、死亡率などを改善することは知られている。だが、軽症の心不全の進展をCRTが抑制するかについては、NYHA II度を対象とした2つの研究があるものの6カ月間の追跡であり、無症候性心不全も含まれていないなどの限界があり未知な点が多い。

 NYHA II度、もしくはステージC(器質的心疾患があり、息切れなどの心不全症状の既往がある)で心不全の既往のあるNYHA I度を対象にCRTの効果を評価した無作為化二重盲検試験であるREVERSE研究の結果が、9月17日付けのJ Am Coll Cardiol誌Online版に発表された(12月2日号に掲載予定)。

 対象となった心不全患者は最低3カ月間、NYHA I度(現在は無症候でも過去に症状があったI度)またはNYHA II度だった症例。さらに、洞調律、QRS120ms以上、左室駆出率(LVEF)40%以下、左室拡張末期径55mm以上で、最低3カ月間、ACE阻害薬、ARB、β遮断薬を含む最適な内科治療を受けていた場合とした。ただし、登録3カ月前からIII度あるいはIV度の心不全に至ったり心不全のため入院した場合、またペーシングが必要な不整脈や慢性心房性不整脈を有する場合は除外した。

 ベースライン時にNYHA重症度分類、QOL、6分間歩行試験、心電図、心エコーを評価後、CRT植え込みを行った。2対1の比率で12カ月間のCRT-ON、CRT-OFFの2群に割り当てた。73の実施施設において684例が登録されたが、最終的にCRT-ON群に419例、CRT-OFF群に191例が割り当てられた。

 ベースラインは2群間で同等であった。対象の97%はACE阻害薬/ARBを、95%はβ遮断薬を服用していたが、ガイドライン上のβ遮断薬の目標用量に達していたのは35%だった。全体の83%がICD付きCRT(CRT-D)、17%がCRTだった。

 調査開始後1、3、6、12カ月時点で、QOLアンケート、患者による全般的自己評価、NYHA重症度分類、6分間歩行試験、身体所見を評価した。12カ月後には最終の心エコー(CRT-ONではCRT停止後10分後に)と心電図検査を行った。

 一次エンドポイントは、心不全の臨床上の指標を統合して「悪化・不変・改善」のいずれかで評価した(HF clincal composite response)。すなわち、死亡、心不全悪化入院、心不全悪化に基づくCRTプロトコールの停止や交替、12カ月時点でのNYHA悪化、患者による全般的自己評価でCRT埋め込み以前より中等度以上の悪化を、「悪化」とした。12カ月時点においてNYHA重症度分類が改善したか、患者による全般的自己評価での中等度以上改善した場合を「改善」とした。悪化でも改善でもないものを「不変」とした。

 二次エンドポイントは左室収縮末期容積指数(LVESVI)とした。心不全悪化に伴う入院は医療ケア使用の二次解析時に評価した。

 一次エンドポイントはCRT-ON群で16%が悪化、CRT-OFF群で21%が悪化し、有意差はなかった(p=0.10)。CRT-ON群に割り当てられた患者のLVESVIは、OFF群より改善した(-18.4±29.5 vs. -1.3±23.4 mL/m2、p<0.0001)。特に非虚血性の改善は虚血性の3倍にも達した。

 LVEDVI(p<0.0001)やLVEF(p<0.0001)も、CRT-ON群で有意に改善した。interventricular mechanical delayもCRT-ON群でより改善した(-13.0±43.2 ms vs. 0.2±34.0ms, p=0.0007)。

 

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