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洞調律の心不全患者に対するワルファリンの適応は?

2013/08/28

 心不全患者に心房細動を合併していた場合、血栓塞栓症の予防のために抗凝固療法を行うことは、CHADS2スコアからも強く勧められています。しかし、洞調律の心不全患者に対してはどのように考えられているのでしょうか?

洞調律心不全患者でも理論的には血栓形成しやすい状態


 心不全患者には心房細動を合併していなくても下記ウィルヒョウの三徴の血栓を生じる要素があるとされ、さらに合併する狭心症では冠動脈内血栓形成の危険性が危惧されています。

1) 心不全患者では血小板活性化、凝固能の活性化ともに認められる(Eur Heart J 1993;14:205-212,Int Heart J 2009;50-591-600,Circulation 2001;103:1746-1751
2) 血管内皮細胞の障害
3) 左室拡大、収縮能低下、低心拍出量により血流がよどみやすい
4) 潜在的冠動脈疾患患者での冠動脈内血栓形成


洞調律心不全患者の血栓塞栓症の発生頻度


 洞調律の心不全患者では実際にどの程度の血栓塞栓発症率でしょうか? 多施設研究SOLVD(ACE阻害薬)とSCD-HeFT(植え込み型除細動器)において、心房細動を合併しない心不全患者の脳卒中+肺塞栓+末梢塞栓症の年間発生頻度はそれぞれ約2%(ワルファリン内服患者10%。J Am Coll Cardiol 1997;29:1074-1080)、約0.7-1.5%(ワルファリン内服患者28%)と報告されています(図1.Circulation 2007;115:2637-2641)。

著者プロフィール

佐藤幸人(兵庫県立尼崎病院循環器部長)さとうゆきひと氏。 1987年京大卒。同大循環器内科入局、94年に京大大学院修了。同科病棟医長を経て、2004年から兵庫県立尼崎病院循環器内科に勤務。 07年より同科部長。研究テーマは心不全のバイオマーカーなど。

連載の紹介

佐藤幸人の「現場に活かす臨床研究」
専門の心不全だけでなく、臨床全般に興味がある。過疎地の病院での臨床経験もある。そんな佐藤氏の持論は、「医療とは患者、家族、医師、パラメディカル、メディア、企業などが皆で構成する『社会システム』だ」。最新の論文や学会報告を解説しつつ、臨床現場でそれらをどう活かすかを考える。

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