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RED-HF試験
慢性心不全に合併する貧血に対し一律的なダルベポエチン投与は効果なし

2013/05/14

 慢性心不全に合併した貧血については2011年1月24日の記事2012年6月18日の記事の2回にわたってまとめました。今回は、慢性心不全に合併した貧血に対するダルベポエチン投与の効果についての最新論文を取り上げます(RED-HF, N Engl J Med 2013;368:1210-1219)。

 そもそも、同様の検討は2008年に今回の共著者でもあるAnand IS先生が、STAMINA-HeFT(Circulation 2008;117:526-535)として報告しています。その時の症例数は319例。今回は、症例を2278例にまで拡大して再確認した形となりました。

 STAMINA-HeFT は貧血を伴った慢性心不全患者を対象としたエリスロポエチン投与試験としては当時最大でしたが,エリスロポエチン群でヘモグロビン値が改善したにもかかわらず心血管イベントの改善は認められませんでした。

■ RED-HF試験結果
 Swedberg先生たちが報告されたRED-HF試験では左室駆出率40%以下、Hb 9.0-12.0 Hb/dLという貧血を伴った慢性心不全患者を対象に、ダルベポエチン群またはプラセボ群に割り付けられ、ダルベポエチン群ではHb 13.0を目指して(ただしHb 14.5 g/dLを超えないように)ダルベポエチンが投与されました。両群とも血清フェリチン値がベースライン時から20%以上低下した時点で鉄補充療法が実施されました。

 その結果、ダルベポエチン群でHbが改善したにもかかわらず、1次評価項目(総死亡または心不全悪化による入院)の発生率は両群間で有意差を認めず(図1)、それどころか副作用としてダルベポエチン群で血栓塞栓性イベントの有意な増大が見られました(13.5% vs. 10.0%、P=0.009)。

著者プロフィール

佐藤幸人(兵庫県立尼崎病院循環器部長)さとうゆきひと氏。 1987年京大卒。同大循環器内科入局、94年に京大大学院修了。同科病棟医長を経て、2004年から兵庫県立尼崎病院循環器内科に勤務。 07年より同科部長。研究テーマは心不全のバイオマーカーなど。

連載の紹介

佐藤幸人の「現場に活かす臨床研究」
専門の心不全だけでなく、臨床全般に興味がある。過疎地の病院での臨床経験もある。そんな佐藤氏の持論は、「医療とは患者、家族、医師、パラメディカル、メディア、企業などが皆で構成する『社会システム』だ」。最新の論文や学会報告を解説しつつ、臨床現場でそれらをどう活かすかを考える。

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