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心血管イベントを抑制する食事指導とは? 代表的な4つの間違い

2013/03/14

 心血管病変予防のための食事指導として、明らかに日本の現状と欧米と異なる点が4点あります(表1)。ひとつずつまとめてみます。

表1 代表的な間違った食事指導例

1. バターはやめてマーガリンを使おう
2. 植物油を積極的に使用しよう
3. コレステロールを多く含む食品は食べないようにしましょう
4. あぶらっこい魚はやめて、白身魚を食べましょう


1) マーガリン使用という間違い
 動物性由来の飽和脂肪酸がよくないとされ、マーガリンが推奨された時代があります。しかし、マーガリンは人工的に固形にする過程でトランス脂肪酸が含まれています。トランス脂肪酸は心血管病変を悪化させる可能性が指摘されており(N Engl J Med 2006;354:1601-13)、欧米では条例でその使用が制限されているところもあります。

 一方、日本ではトランス脂肪酸の含有量が欧米よりも低いとされていますが、理論上は積極的にマーガリン摂取を薦めるべきではないと思われます。

2) 植物油指導という間違い
 オリーブ油以外の代表的な植物油には、コーン油、ひまわり油、紅花油などがありますが、いずれもn-6系不飽和脂肪酸であるリノール酸が主体です。日本人の食事摂取基準では、n-6系不飽和脂肪酸の過剰摂取はアレルギーの悪化の懸念があることより摂取上限を設けています(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/sessyu-kijun.html)。また、近年行われた欧米の試験ではリノール酸摂取を指導した群のほうが心血管イベントの発症が多くなり予後不良であったことが報告されています(図1、BMJ 2013;346:e8707)。

著者プロフィール

佐藤幸人(兵庫県立尼崎病院循環器部長)さとうゆきひと氏。 1987年京大卒。同大循環器内科入局、94年に京大大学院修了。同科病棟医長を経て、2004年から兵庫県立尼崎病院循環器内科に勤務。 07年より同科部長。研究テーマは心不全のバイオマーカーなど。

連載の紹介

佐藤幸人の「現場に活かす臨床研究」
専門の心不全だけでなく、臨床全般に興味がある。過疎地の病院での臨床経験もある。そんな佐藤氏の持論は、「医療とは患者、家族、医師、パラメディカル、メディア、企業などが皆で構成する『社会システム』だ」。最新の論文や学会報告を解説しつつ、臨床現場でそれらをどう活かすかを考える。

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