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尿中微量アルブミンが急性心不全の心腎連関のバイオマーカーの可能性

2013/02/19

 急性心不全において、クレアチニンはバイオマーカーとして適切ではない可能性が出てきました。

 今回はわれわれの施設からの報告です(Koyama S, Sato Y. Early Evolution and Correlates of Urine Albumin Excretion in Patients Presenting with Acutely Decompensated Heart Failure. Circ Heart Fail;電子版)。これまで、急性心不全患者の心腎連関は、1)腎うっ血の関与が大きいこと(1)、2)利尿薬を使用することにより腎うっ血を解除する可能性があること(2)、3)クレアチニンの一過性の上昇は必ずしも長期予後と相関しておらず、急性心不全においてクレアチニンをバイオマーカーとする妥当性に疑問があること(3、4)を述べてきました。

 一方、高血圧や糖尿病性腎症においてアルブミン尿が認められた場合、ACE阻害薬またはARBを投与することが広くすすめられています。この際、一過性のクレアチニン上昇、eGFR低下がしばしば認められますが、結果的に尿中アルブミンの減少が得られ、「クレアチニンやeGFRの変化よりも尿中アルブミンの変化を重視する」ということになっています。そこで、高血圧と同様にクレアチニン、eGFRの変動と尿中アルブミンの変動が独立している可能性がないか、急性心不全においても尿中微量アルブミンの推移を検討してみました。

急性心不全において尿中アルブミンは増加、その変動はクレアチニンと無関係

 115例の非連続、急性心不全患者を対象に、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)を入院日(day1)と7日(day7)目で測定し、UACRの変化量について背景因子と対比しました。

 その結果、1)正常UACR<30mg/gCr、microアルブミン尿(30-299mg/gCr)、macroアルブミン尿(>300mg/gCr)は、day1にはそれぞれ患者の31%、42%、27%に認められ、day7にはそれぞれ60%、30%、10%に認められました。中央値はday1が83mg/gCr、day7が22mg/gCrであり、有意に低下しました(P<0.0001、図1)。

著者プロフィール

佐藤幸人(兵庫県立尼崎病院循環器部長)さとうゆきひと氏。 1987年京大卒。同大循環器内科入局、94年に京大大学院修了。同科病棟医長を経て、2004年から兵庫県立尼崎病院循環器内科に勤務。 07年より同科部長。研究テーマは心不全のバイオマーカーなど。

連載の紹介

佐藤幸人の「現場に活かす臨床研究」
専門の心不全だけでなく、臨床全般に興味がある。過疎地の病院での臨床経験もある。そんな佐藤氏の持論は、「医療とは患者、家族、医師、パラメディカル、メディア、企業などが皆で構成する『社会システム』だ」。最新の論文や学会報告を解説しつつ、臨床現場でそれらをどう活かすかを考える。

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