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新しい概念、心不全における「心肝連関」

2013/01/17

 心不全において、心機能と腎機能は互いに悪影響を及ぼしながら独立した予後危険因子であり、心腎連関と呼ばれています。今回は新しい概念提唱として、心臓と肝臓の関連「心肝連関」についてです。古典的にはうっ血肝やショック肝と言われていた病態は、現在はどのように考えられているのでしょうか。

 まだまだ論文数は少ないのですが、最近levosimendan(強心薬)の多施設研究SURVIVEから、急性心不全患者における肝機能サブ解析が報告されました(Liver function abnormalities, clinical profile, and outcome in acute decompensated heart failure. Nikolaou M. Eur Heart J:電子版)。その結果、急性心不全において肝機能異常は46%に認められ、アルカリフォスファターゼの異常はうっ血、右心圧上昇症状(末梢浮腫、腹水)と相関し、トランスアミナーゼの異常は臓器低環流の症状(低血圧、頻脈、四肢冷感)と相関、両者とも180日後の死亡率と関連を認めるということが報告されました。

 上記の結果は強心薬を必要とするような急性心不全の場合であって、慢性心不全での心肝連関はまた異なる病態であることも予想されます(前回心腎連関の話題として、急性心不全と慢性心不全のworsening renal failureは捉え方が異なる可能性をブログで述べましたが、同じことが肝臓にも言えるかもしれません)。Candesartan(ARB)の多施設研究CHARMからは、心血管イベントを生じた群では生じなかった群と比較して総ビリルビン高値、アルカリフォスファターゼ高値、アルブミン低値が多く認められ(図1)、中でも総ビリルビンの上昇は独立した強い危険因子であることが報告されています(Eur J Heart Fail 2009;11:170-177)。

著者プロフィール

佐藤幸人(兵庫県立尼崎病院循環器部長)さとうゆきひと氏。 1987年京大卒。同大循環器内科入局、94年に京大大学院修了。同科病棟医長を経て、2004年から兵庫県立尼崎病院循環器内科に勤務。 07年より同科部長。研究テーマは心不全のバイオマーカーなど。

連載の紹介

佐藤幸人の「現場に活かす臨床研究」
専門の心不全だけでなく、臨床全般に興味がある。過疎地の病院での臨床経験もある。そんな佐藤氏の持論は、「医療とは患者、家族、医師、パラメディカル、メディア、企業などが皆で構成する『社会システム』だ」。最新の論文や学会報告を解説しつつ、臨床現場でそれらをどう活かすかを考える。

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