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緊急報告
急性心不全患者において、“In hospital-Worsening Renal Failure”は予後不良因子ではない可能性

2012/12/12

 従来、心腎連関の本体は心拍出量の低下による腎血流低下が主体と考えられていたのですが、最近は腎うっ血の関与が大きいことが知られるようになり、利尿薬による腎うっ血の解除が腎機能の悪化を阻止する可能性が示唆されています(2009年5月1日当ブログ記事)。

 一方、ループ利尿薬は後ろ向きに解析すると使用量が多いと予後不良という結果が出たために、利尿薬は心不全患者によくないのではないかという懸念がありました。しかし、DOSEにより利尿薬は高用量を用いた方が低用量よりも有意差はないものの、むしろ心血管イベントが少ないことが報告されました(図1)。この時に高用量群では、低用量群と比較して有意ではないもののクレアチニンの上昇が大きい(worsening renal failureが多かった)ことが示されました(図2)。Felker先生は、その後のコメントで高用量群の腎機能低下は一時的でその後消失しており、医療費は高用量群で少なかったことから、ループ利尿薬の積極的な高用量使用を推奨されています(2012年7月11日当ブログ記事)。

著者プロフィール

佐藤幸人(兵庫県立尼崎病院循環器部長)さとうゆきひと氏。 1987年京大卒。同大循環器内科入局、94年に京大大学院修了。同科病棟医長を経て、2004年から兵庫県立尼崎病院循環器内科に勤務。 07年より同科部長。研究テーマは心不全のバイオマーカーなど。

連載の紹介

佐藤幸人の「現場に活かす臨床研究」
専門の心不全だけでなく、臨床全般に興味がある。過疎地の病院での臨床経験もある。そんな佐藤氏の持論は、「医療とは患者、家族、医師、パラメディカル、メディア、企業などが皆で構成する『社会システム』だ」。最新の論文や学会報告を解説しつつ、臨床現場でそれらをどう活かすかを考える。

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