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心不全のチーム医療・病診連携への試行錯誤●その15
患者が主体となる「心不全患者手帳」の作成

2012/04/05

 慢性心不全に対して多職種で介入する場合、簡単な患者指導用資材の存在が欠かせません。今回は、新しく作成した『慢性心不全手帳』について解説していきます。

作成背景

 慢性心不全の治療については、国内外から治療ガイドラインが出版されています。しかし、いずれも内容は難解であり、心不全の専門医向けとなっています。そのため、ガイドライン推奨治療の遵守率には、医師間格差や施設間格差があります。また、ガイドライン順守率が悪いこと自体、予後不良の原因であることも知られています(本ブログ「ガイドライン遵守で予後改善目指すシステムの模索」、2010.9.13)。

 その一方で、入院患者の在院日数は短くなっており、患者はガイドライン推奨治療の徹底が不十分なまま、外来通院または地域の診療所に帰ってしまうことも増えてきました。従って心不全の専門医以外にも理解できるように、ガイドライン推奨治療を分かりやすく表現することが求められています。

 患者が心不全治療の専門医の手を離れた後も、循環器が専門でない看護師や医師によって自動的にガイドラインが浸透していくシステムを作成する必要があると言えるでしょう。その一環として今回、患者手帳を作成しました。その意義は以下の3点です(表1)。

著者プロフィール

佐藤幸人(兵庫県立尼崎病院循環器部長)さとうゆきひと氏。 1987年京大卒。同大循環器内科入局、94年に京大大学院修了。同科病棟医長を経て、2004年から兵庫県立尼崎病院循環器内科に勤務。 07年より同科部長。研究テーマは心不全のバイオマーカーなど。

連載の紹介

佐藤幸人の「現場に活かす臨床研究」
専門の心不全だけでなく、臨床全般に興味がある。過疎地の病院での臨床経験もある。そんな佐藤氏の持論は、「医療とは患者、家族、医師、パラメディカル、メディア、企業などが皆で構成する『社会システム』だ」。最新の論文や学会報告を解説しつつ、臨床現場でそれらをどう活かすかを考える。

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