日経メディカルのロゴ画像

心不全のチーム医療・病診連携への試行錯誤●その13
生活指導:意外に少ない水分制限のエビデンス

2012/02/09

 今回は、水分制限についてです。よく問題になることですが、実は心不全に関して、統一した見解はありません。入院中は水分の計測は可能ですが、退院すると食事以外の水分量を計算することは、日々の生活の中で困難になります。

 実際の臨床では、体重が増加せず、呼吸苦や下肢浮腫の悪化もなく、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)値の上昇もなければ、水分コントロールは問題ないと判断することになります。表1にも出てくる米国心不全学会のガイドラインでも、「外来患者では水分のin-outを評価することは困難であり、体重を管理する」という表現です。

 表1は、国内外の心不全のガイドラインから、水分制限の記載を集めたものです。いずれも薬剤の臨床試験とは異なり、多施設研究によるエビデンスはなく、専門家の意見として記載されており、水分制限の有用性も断言してはいません。

 確かに、水分制限が守れずに体に水分が貯留して心不全が悪化した結果、入院となる患者も多いのですが、末期患者では水分制限を守っていても、水分貯留や浮腫、肺うっ血が見られるようになるからです。また水分制限の記載があったとしても、1.5~2Lと、やや緩い制限となっています。

著者プロフィール

佐藤幸人(兵庫県立尼崎病院循環器部長)さとうゆきひと氏。 1987年京大卒。同大循環器内科入局、94年に京大大学院修了。同科病棟医長を経て、2004年から兵庫県立尼崎病院循環器内科に勤務。 07年より同科部長。研究テーマは心不全のバイオマーカーなど。

連載の紹介

佐藤幸人の「現場に活かす臨床研究」
専門の心不全だけでなく、臨床全般に興味がある。過疎地の病院での臨床経験もある。そんな佐藤氏の持論は、「医療とは患者、家族、医師、パラメディカル、メディア、企業などが皆で構成する『社会システム』だ」。最新の論文や学会報告を解説しつつ、臨床現場でそれらをどう活かすかを考える。

この記事を読んでいる人におすすめ