近年、高齢化社会を迎え心不全患者は増加傾向にあります。死亡率は減少傾向にあるのですが、反面、入退院を繰り返しながら患者・家族ともに、身体的、精神的、経済的に疲弊していくことを見る機会が増えています。親の介護のために子が失職する、いわゆる介護失職のケースに遭遇することもあります。
その一方で、在院日数や医療コストという病院経営面からの締め付けはさらに厳しさを増し、患者は早々に退院しなければなりません。また医師だけでは、ガイドラインで推奨されている治療の遵守率に、施設間や医師間に格差があることも分かってきました。
心不全を専門とする医師のみで心不全診療を完結することはもはや不可能となってきており、今後、末期心不全の在宅医療も視野に入れ、心不全や循環器の専門・非専門を問わず、多職種の介入が必要となってきます(図1)[1]。そのためには、非専門職でも分かりやすく、簡便に使用できるシステム構築が望まれます。
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著者プロフィール
佐藤幸人(兵庫県立尼崎病院循環器部長)さとうゆきひと氏。 1987年京大卒。同大循環器内科入局、94年に京大大学院修了。同科病棟医長を経て、2004年から兵庫県立尼崎病院循環器内科に勤務。 07年より同科部長。研究テーマは心不全のバイオマーカーなど。

連載の紹介
佐藤幸人の「現場に活かす臨床研究」
専門の心不全だけでなく、臨床全般に興味がある。過疎地の病院での臨床経験もある。そんな佐藤氏の持論は、「医療とは患者、家族、医師、パラメディカル、メディア、企業などが皆で構成する『社会システム』だ」。最新の論文や学会報告を解説しつつ、臨床現場でそれらをどう活かすかを考える。
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