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心不全のチーム医療・病診連携への試行錯誤●その7
心不全患者へのワクチン接種をどう考えるか

2011/06/27

 季節外れな話題になってしまいましたが、今回は心不全患者へのワクチン接種の考え方を紹介しようと思います。高齢者へのインフルエンザや肺炎球菌のワクチン接種は、一般的にその有効性が認識されています。一方、心不全患者を対象にした場合、接種を勧めるとされていますが、その理由についてはあまり言及されていませんでした。

 そもそもワクチンは接種により完全に感染を防止するものではなく、「感染しない」とか、「死亡しない」ことを保証するものではありません。インフルエンザワクチンを例にとっても、若年者においてはワクチンの有効性は高齢者に比較して確認しにくく、症状のある日数の短縮、症状の軽減が主な効果です。

 しかし、このようなワクチンの症状を緩和する効果が、高齢者では全身状態を悪化させるのを防ぎ、最終的には生存率にまで影響してくる可能性が考えられます。心不全患者は高齢であること以外に、喘息や肺気腫の合併もしばしば認めますので、ワクチン接種の検討対象となります。

著者プロフィール

佐藤幸人(兵庫県立尼崎病院循環器部長)さとうゆきひと氏。 1987年京大卒。同大循環器内科入局、94年に京大大学院修了。同科病棟医長を経て、2004年から兵庫県立尼崎病院循環器内科に勤務。 07年より同科部長。研究テーマは心不全のバイオマーカーなど。

連載の紹介

佐藤幸人の「現場に活かす臨床研究」
専門の心不全だけでなく、臨床全般に興味がある。過疎地の病院での臨床経験もある。そんな佐藤氏の持論は、「医療とは患者、家族、医師、パラメディカル、メディア、企業などが皆で構成する『社会システム』だ」。最新の論文や学会報告を解説しつつ、臨床現場でそれらをどう活かすかを考える。

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