2010年9月13日付の本ブログ「ガイドライン遵守で予後改善目指すシステムの模索」で、(1)ガイドライン遵守率は施設間に格差があること、(2)ガイドライン遵守率が予後と相関すること、(3)チーム医療によりガイドライン遵守率を経時的に上昇させることが可能なこと――を紹介しました。今回は、具体的にどのような準備をすれば、ガイドラインを浸透させることができるのかを述べます。
performance measureとは、ガイドライン遵守(performance)を評価(measure)し、結果として遵守率を上げることを示す概念です。欧米では心不全のperformance measureについての論文は数多く報告されており、主に院内患者を対象にしたものと、院外患者を対象にしたものがあります。
内容は少しずつ異なるのですが、共通した内容として、(1)チェックリスト、(2)患者教育、(3)治療アルゴリズム――があります。いずれも、ガイドライン遵守を高めるには欠かせない要素です。
チェックリストは、その中でも定期的に確認すべき重要な項目です。ガイドラインとして推奨されるべき必須治療は多数ありますが、中核をなすACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、β遮断薬の投与でさえも、日常臨床の中ではついつい薬剤を導入するタイミングを逸することがあります。
図1A~1Bは、外来心不全患者を対象としたIMPROVE-HF(Registry to Improve the Use of Evidence-Based Heart Failure Therapies in the Outpatient Setting)のチェックリストの一部です[1]。
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著者プロフィール
佐藤幸人(兵庫県立尼崎病院循環器部長)さとうゆきひと氏。 1987年京大卒。同大循環器内科入局、94年に京大大学院修了。同科病棟医長を経て、2004年から兵庫県立尼崎病院循環器内科に勤務。 07年より同科部長。研究テーマは心不全のバイオマーカーなど。

連載の紹介
佐藤幸人の「現場に活かす臨床研究」
専門の心不全だけでなく、臨床全般に興味がある。過疎地の病院での臨床経験もある。そんな佐藤氏の持論は、「医療とは患者、家族、医師、パラメディカル、メディア、企業などが皆で構成する『社会システム』だ」。最新の論文や学会報告を解説しつつ、臨床現場でそれらをどう活かすかを考える。
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