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心不全のチーム医療・病診連携構築への試行錯誤●その3
心不全と低体重――栄養評価について

2010/10/15

 肥満は心血管イベントの危険因子といわれていますが[1]、心不全患者のデータベースでは、むしろ低体重が危険因子であり、体重が多い方が予後がよいという結果が得られています[2]。その原因を説明する仮説の1つとして、心不全になると炎症性サイトカインが増加するのでカヘキシーになるという、サイトカイン仮説があります[2]。

 この領域で有名なStefan D. Anker氏は、心不全に伴う腸管浮腫を原因とするエンドトキシンの体内への侵入が、炎症系亢進の最初のステップではないかと推測しています[3]。また、ACE阻害薬投与により体重減少が防げることも示しています[4]。

 心不全以外にサイトカイン産生が亢進して低体重になる代表疾患としては、癌が思い浮かびます。心不全の領域では低栄養の評価法はまだ定まったものがありませんが、われわれの施設では癌の場合を参考に、栄養評価をしてみようと思っています。

栄養評価の血液指標とは

 栄養評価の血液指標について、確立したものはありません。ですが栄養でまず思い浮かぶのは、アルブミンです。アルブミンは血中半減期が約20日ですので短期的な栄養状態の変動には適しませんが、慢性心不全の評価にはよいと思います。

 一方、プレアルブミンは血中半減期が約2日と代謝も速いので、短期の栄養評価に適していると考えられます。そこで急性心不全などの消耗を見るにはよいでしょう。また、癌に見られるカヘキシーでは血中アミノ酸の総量低下、脂質の低下、さらにはリンパ球数に代表されるように免疫学的指標までも変化するといわれています。

心不全での血液指標のデータはあるか?

著者プロフィール

佐藤幸人(兵庫県立尼崎病院循環器部長)さとうゆきひと氏。 1987年京大卒。同大循環器内科入局、94年に京大大学院修了。同科病棟医長を経て、2004年から兵庫県立尼崎病院循環器内科に勤務。 07年より同科部長。研究テーマは心不全のバイオマーカーなど。

連載の紹介

佐藤幸人の「現場に活かす臨床研究」
専門の心不全だけでなく、臨床全般に興味がある。過疎地の病院での臨床経験もある。そんな佐藤氏の持論は、「医療とは患者、家族、医師、パラメディカル、メディア、企業などが皆で構成する『社会システム』だ」。最新の論文や学会報告を解説しつつ、臨床現場でそれらをどう活かすかを考える。

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