前回は、チーム医療の構成について考えました。今回は、システム的なことを考えます。心不全において、予後改善が期待されるACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、β遮断薬は、今や必須のガイドライン推奨薬となりました。
しかし、医師の裁量に処方を任せていると、入院患者では入院期間が短く、外来患者では診察時間が短いために、どうしても処方率が低くなりがちです。例えばβ遮断薬の処方率は心不全の専門家がいない場合は50%前後で、心不全の専門家がいても80%くらいであることが知られています。
特に患者さんが虚血性心疾患を合併した心不全の場合、医師は冠動脈のインターベンションに心を奪われがちで、ACE阻害薬、ARB、β遮断薬の処方率がさらに低くなります。
ではシステム的にどのようにすれば、これらエビデンスのある薬剤の処方量を上げることができるのでしょうか? 海外を参考に述べてみたいと思います。
エビデンスのある薬剤の処方率の、施設間格差を認識する
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著者プロフィール
佐藤幸人(兵庫県立尼崎病院循環器部長)さとうゆきひと氏。 1987年京大卒。同大循環器内科入局、94年に京大大学院修了。同科病棟医長を経て、2004年から兵庫県立尼崎病院循環器内科に勤務。 07年より同科部長。研究テーマは心不全のバイオマーカーなど。

連載の紹介
佐藤幸人の「現場に活かす臨床研究」
専門の心不全だけでなく、臨床全般に興味がある。過疎地の病院での臨床経験もある。そんな佐藤氏の持論は、「医療とは患者、家族、医師、パラメディカル、メディア、企業などが皆で構成する『社会システム』だ」。最新の論文や学会報告を解説しつつ、臨床現場でそれらをどう活かすかを考える。
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