私自身は市中病院の臨床医なので、論文を書くだけでなく社会的システムを構築して患者に還元しなければ、臨床研究はダメだと考えています。その中で、「心不全のチーム医療、病診連携」というものを模索しているのですが、これがなかなか難しいのです。概念構築だけでなく、実践するためにはいろいろなハードルがあります。
ただ、こういう話題は論文にはならなくても、社会的に重要であるということに関しては、異論はないと思います。将来的には、このような形で徐々に社会的に認知されるようになり、心不全のチーム医療に保険点数がつくようになるかもしれません。
このテーマについて今回から数回に分けて考えていきますが、論文もエビデンスもほとんどない領域なので、あくまでも私見という形で考えたいと思います。われわれの施設でも決して確立できているわけではなく、試行錯誤中、建設中の事項が多々含まれることをご容赦ください。
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著者プロフィール
佐藤幸人(兵庫県立尼崎病院循環器部長)さとうゆきひと氏。 1987年京大卒。同大循環器内科入局、94年に京大大学院修了。同科病棟医長を経て、2004年から兵庫県立尼崎病院循環器内科に勤務。 07年より同科部長。研究テーマは心不全のバイオマーカーなど。

連載の紹介
佐藤幸人の「現場に活かす臨床研究」
専門の心不全だけでなく、臨床全般に興味がある。過疎地の病院での臨床経験もある。そんな佐藤氏の持論は、「医療とは患者、家族、医師、パラメディカル、メディア、企業などが皆で構成する『社会システム』だ」。最新の論文や学会報告を解説しつつ、臨床現場でそれらをどう活かすかを考える。
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