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使われ始めたアリスキレンのエビデンスを再チェック

2010/03/02

 レニン阻害薬はレニン・アンジオテンシン系の上流で働くレニンの活性を直接阻害してアンジオテンシンIの合成を抑制する、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の登場から十数年ぶりという新しいカテゴリーの降圧薬です。昨年から日本でも高血圧症の治療での使用が可能になりました。そこで高血圧、心不全のエビデンスについて、どのようなものがあるのかをまとめてみました。

1.アリスキレンの降圧効果と他薬剤との併用

 この内容については昨年2月3日に「Circulation誌、Lancet誌が報じる新薬の実力」で既に紹介しましたが、改めて簡単にまとめておきます。

 高血圧領域においては、心血管イベント抑制のために厳格な降圧が推奨されています。しかし、単剤で降圧目標に到達できる症例は、現実的には半数もなく、2~3剤の併用療法が必要です。

 降圧利尿薬ヒドロクロロチアジド25mg/日と比較してアリスキレン300mg/日は良好なresponder rateと降圧効果を示しており、Ca拮抗薬アムロジピンと併用してもよい降圧効果が得られることが報告されています1)

 降圧利尿薬との併用効果では、「アリスキレン300mg+ヒドロクロロチアジド25mg併用群」は、それぞれの単独群よりも降圧作用が強いことが報告されています2)。ARBの併用については、「アリスキレン300mg/日+バルサルタン320mg/日」の併用により、それぞれを単剤で用いた場合より大きな降圧をもたらしました3)

 従ってアリスキレンの降圧効果は強く、Ca拮抗薬、降圧利尿薬、ARBとの併用も可能といえます。また、いずれの場合にも安全性に問題がないことも報告されています。

 

著者プロフィール

佐藤幸人(兵庫県立尼崎病院循環器部長)さとうゆきひと氏。 1987年京大卒。同大循環器内科入局、94年に京大大学院修了。同科病棟医長を経て、2004年から兵庫県立尼崎病院循環器内科に勤務。 07年より同科部長。研究テーマは心不全のバイオマーカーなど。

連載の紹介

佐藤幸人の「現場に活かす臨床研究」
専門の心不全だけでなく、臨床全般に興味がある。過疎地の病院での臨床経験もある。そんな佐藤氏の持論は、「医療とは患者、家族、医師、パラメディカル、メディア、企業などが皆で構成する『社会システム』だ」。最新の論文や学会報告を解説しつつ、臨床現場でそれらをどう活かすかを考える。

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