脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N末端フラグメント(NT-proBNP)はガイドライン的に心不全の(特に急性心不全)「診断」、「リスク評価」に有用であると記載されています。しかし「治療効果指標」としてはエビデンスが少なく、有用とは記載されていません。
現在までに報告されている多施設試験をみると、STARS-BNP1)、TIME-CHF2)のようにBNP、NT-proBNPガイド心不全治療は有用であると評価する報告と、STARBRITE 3)のように有用でないとする報告があります。Troughtonらが、NT-proBNPガイド心不全治療の概念を初めて提唱して10年が経過するわけですが4)、今回彼らは、BATTLESCASRRED試験の結果を報告しましたので、ご紹介しましょう5)。
試験概要
新規に会員登録する
会員登録すると、記事全文がお読みいただけるようになるほか、ポイントプログラムにもご参加いただけます。
著者プロフィール
佐藤幸人(兵庫県立尼崎病院循環器部長)さとうゆきひと氏。 1987年京大卒。同大循環器内科入局、94年に京大大学院修了。同科病棟医長を経て、2004年から兵庫県立尼崎病院循環器内科に勤務。 07年より同科部長。研究テーマは心不全のバイオマーカーなど。

連載の紹介
佐藤幸人の「現場に活かす臨床研究」
専門の心不全だけでなく、臨床全般に興味がある。過疎地の病院での臨床経験もある。そんな佐藤氏の持論は、「医療とは患者、家族、医師、パラメディカル、メディア、企業などが皆で構成する『社会システム』だ」。最新の論文や学会報告を解説しつつ、臨床現場でそれらをどう活かすかを考える。
この連載のバックナンバー
-
2016/04/26
-
2016/02/05
-
2016/01/12
-
2015/10/05
-
2015/02/05