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CoQ10は心不全の予後予測因子だが、治療効果は?

2009/11/25

 これまでに本コラムでは、食事によって炎症の改善効果が期待できること、野菜、果物、全粒穀物という基本メニューにn-3系不飽和脂肪酸、必須アミノ酸を加えると心血管イベント予防を目的とした食事介入ができるのではないかという可能性を述べてきました(参考記事「食事で心血管イベントは減少する―」「末期心不全の低栄養状態、重要なのは食事だが」「今回はn-3系不飽和脂肪酸についてのおさらいです」)。

 では、サプリメントはどうでしょうか?今回は古くて新しい「コエンザイムQ10(CoQ10)」について考えてみたいと思います。

古くから知られている心不全とCoQ10の関係

 CoQ10は、心筋ミトコンドリアにおける電子伝達系の酸化還元において、補酵素的な役割を果たす抗酸化剤でもあるとされています。心不全患者の心筋内ではCoQ10が枯渇しており、実験的に外因性に投与されたCoQ10により、(1)血中濃度が上昇し、(2)細胞内濃度が上昇し、(3)ATP産生速度が速まり、(4)心筋収縮力が改善される――といった報告が、学会や雑誌の誌面をにぎわせました。

 日本では1974年に、代謝性強心薬としてCoQ10が発売されました。私が研修医だった1990年前後には、心不全患者にCoQ10を投与する先生もまだたくさんいました。しかし少人数を対象とした検討しか行われておらず、その結果も有効と無効が混在していました。

 そのためACE阻害薬、β遮断薬が慢性心不全の基礎薬となったことにより、エビデンスのないCoQ10は、いつの間にかほとんど処方されなくなってしまいました。

 ちなみにメバロン酸はCoQ10の主要な生成源なので、スタチンの投与によりCoQ10の産生は低下します。このことが、心不全患者にスタチンを投与してもイベントが抑制できない原因かもしれないといわれています(CORONA試験1)、GISSI-HF試験2))。

 

著者プロフィール

佐藤幸人(兵庫県立尼崎病院循環器部長)さとうゆきひと氏。 1987年京大卒。同大循環器内科入局、94年に京大大学院修了。同科病棟医長を経て、2004年から兵庫県立尼崎病院循環器内科に勤務。 07年より同科部長。研究テーマは心不全のバイオマーカーなど。

連載の紹介

佐藤幸人の「現場に活かす臨床研究」
専門の心不全だけでなく、臨床全般に興味がある。過疎地の病院での臨床経験もある。そんな佐藤氏の持論は、「医療とは患者、家族、医師、パラメディカル、メディア、企業などが皆で構成する『社会システム』だ」。最新の論文や学会報告を解説しつつ、臨床現場でそれらをどう活かすかを考える。

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