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健診でBNP高値を指摘された患者が外来に。どう対応する?

2009/06/03
小田修司

 脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、脳性ナトリム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)が、心不全患者の診断やリスク評価に有用です。また、本来、急性心筋梗塞の診断、リスク評価の指標であるトロポニンT(Tn T)、トロポニンI(TnI)は、BNP、NT-proBNPとは独立した心不全の予測因子です。1)このことは、既に、本ブログで何度も述べてきました。

 今回は、これらの指標が、高血圧症の一般住民を対象に測定された場合の意義について考えてみたいと思います。もちろん、保険病名での測定ではありませんので研究段階の話です。

 まずBNP、NT-proBNPについてお話しします。
高血圧の症例では、BNP、NT-proBNPの数値が、健常人と比べてやや上昇していることが10年以上前から指摘されています。この数値の上昇は、心不全での上昇より小さいものです。高血圧におけるBNP、NT-proBNP値上昇の病的意義については、「心肥大と相関する」という論文と「相関はあまりない」という論文があり、意見の一致を見ていませんでした。

 少なくとも心不全患者における、「心不全重症度とBNP、NT-proBNP値」のように、誰が検討しても同じ結果が得られるような強い相関ではないと思います。従って、健康診断でBNP、NT-proBNPが高値だった患者が外来に来ても、検査の結果、心不全の合併がなければ「大丈夫です」と言って帰すことが多かったと思います。

著者プロフィール

佐藤幸人(兵庫県立尼崎病院循環器部長)さとうゆきひと氏。 1987年京大卒。同大循環器内科入局、94年に京大大学院修了。同科病棟医長を経て、2004年から兵庫県立尼崎病院循環器内科に勤務。 07年より同科部長。研究テーマは心不全のバイオマーカーなど。

連載の紹介

佐藤幸人の「現場に活かす臨床研究」
専門の心不全だけでなく、臨床全般に興味がある。過疎地の病院での臨床経験もある。そんな佐藤氏の持論は、「医療とは患者、家族、医師、パラメディカル、メディア、企業などが皆で構成する『社会システム』だ」。最新の論文や学会報告を解説しつつ、臨床現場でそれらをどう活かすかを考える。

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