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200年の歴史を持つが、10年以上大規模試験は無し
ジギタリスの心不全治療での価値は?

2008/11/21
小田修司

 ジギタリスは心不全治療において200年以上の歴史を持つ薬剤で、2005年の米国心臓協会/米国心臓病学会(AHA/ACC)のガイドラインでは収縮機能低下心不全への使用IIa、拡張機能障害IIb、心房細動のレートコントロールIIaというクラス分類となっています。

 また、強心薬の中では唯一、生存率を悪化させない薬剤であり、少量で使用した場合、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系や、交感神経系の抑制作用があることも報告されています。しかし大規模試験は10年前から行われておらず、徐々に使用頻度が減少しています。

 実際、わが国でも現在では心房細動患者のレートコントロール以外で用いられることは、ほとんどなくなりつつあります。この傾向は欧米でも同様で、ジギタリスの使用経験がないという若い医師もいるようです。今回は古くて新しい話題として、ジギタリス薬の1つであるジゴキシンを取り上げたいと思います。

 ジゴキシンが、最近、社会的に取り上げられない一番の原因としては、薬価が安い(日本では1日あたりの薬価が約9円)ため製薬会社の積極的な支援が受けにくく、新しい大規模試験が組まれにくいという点が挙げられます。2番目として、中毒を起こしやすいので腎機能不全患者、高齢者に使いにくいことも、使用が敬遠されがちな理由だと思います。

著者プロフィール

佐藤幸人(兵庫県立尼崎病院循環器部長)さとうゆきひと氏。 1987年京大卒。同大循環器内科入局、94年に京大大学院修了。同科病棟医長を経て、2004年から兵庫県立尼崎病院循環器内科に勤務。 07年より同科部長。研究テーマは心不全のバイオマーカーなど。

連載の紹介

佐藤幸人の「現場に活かす臨床研究」
専門の心不全だけでなく、臨床全般に興味がある。過疎地の病院での臨床経験もある。そんな佐藤氏の持論は、「医療とは患者、家族、医師、パラメディカル、メディア、企業などが皆で構成する『社会システム』だ」。最新の論文や学会報告を解説しつつ、臨床現場でそれらをどう活かすかを考える。

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