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図表にも注目! 研究結果の英語表現

2014/02/13

 今回は、研究結果「RESULTS」の英語表現を取り上げます。多くのジャーナルは、論文に掲載可能な図表の数に制限を設けています(NEJM誌は、図表計5点以内)。研究結果を執筆する際は、図(Figure)と表(Table)を先に決めてから、文章を書き始めるほうが効率的ですし、論文を読む際も、本文と図表の双方から情報を読み取ることが求められます。そこで今回は、本文に加えて、図表のボックスに小さな字で書かれている英文にも注目したいと思います。

【患者(研究参加者)の内訳】
 介入研究のRESULTSのセクションでは、各群に割り付けされた人数、意図された治療を受けた人数、解析に用いられた人数を最初に述べるのが一般的です。

(1)Between October 2009 and July 2012, a total of 41,561 patients with stroke or TIA were screened at 114 clinical sites; 5170 patients were enrolled, with 2584 randomly assigned to the clopidogrel-aspirin group and 2586 to the aspirin group.

(2)From August 2008 through August 2012, a total of 5400 patients were enrolled at 358 centers in 28 countries (Fig.1).

【(1)(2)の音声ファイル⇒こちらです】(協力:HOYAサービス株式会社)

 上記の英文の最後に(Fig.1)とあります。この論文のFig.1はフローチャートです。一番上の四角の中に「5400 Patients underwent randomization(5400例をランダム化)」と書いてあり、矢印にそって読むと、対象患者を2群に割り付けしたこと、脱落例の数、安全性の解析に含まれた数などが分かります。脚注に次のような説明がありました。

(3)All five patients who were excluded from all the analysis owing to absent source documentation were enrolled at the same center.

 この英文の構造はやや複雑ですが、そんなときは、まず文の骨子を探してみてください。

 All five patients were enrolled at the same center.(5例はすべて同じ施設で登録された)

 次に「who」から「documentation」までの内容を検討します。すべての解析から除外された(excluded from all the analysis)理由が「owing to」の後にあります。「absent」は「(あるべきものが)ない、欠けている」という意味です。つまり「source documentation (情報源の証拠書類・原資料)」がないことを理由に、全ての解析から除いた患者が5例いて、全例が同じ施設で登録されていた、というのが(3)の英文の内容です。

【研究結果の記述】
 次に、臨床的アウトカム(Clinical outcome)の英語表現を見てみましょう。評価項目に指定した疾患の発生数を示す際は、「【疾患】occurred in【数字】patients」と表現できます。

(4)In the dabigatran group, stroke occurred in 9 patients (5%) and myocardial infarction occurred in 3 patients (2%); there were no cases of stroke or myocardial infarction in the warfarin group (Table 4).

 Table(表)は、文章で述べるよりも正確な数値を簡潔に示せる場合や、集団間を比較する場合に使われます。Table 4の脚注を読んでみましょう。

 * NA denotes not applicable.
 † Hazard ratios are for all the patients in the dabigatran group as compared with all those in the warfarin group.
 ‡ P values were calculated with the use of the Wald chi-square test.

 「denote」は「~を意味する、示す」、「NA」は「Not Applicable」の略。表のセルにNAとあれば “該当なし”を意味し、イベント発生数が0でハザード比(hazard ratio)などのリスク計算ができない場合に使われます。「P value」は「P値」、「Wald chi-square test」は「Waldのカイ二乗検定」です。

 下の図は、昨年9月の新着論文紹介記事「人工心臓弁置換術後の患者、ダビガトラン投与群でイベントが増加」に載っていたものです。カプラン・マイヤー法による生存曲線で、初回の血栓塞栓イベント以降の生存率を示しています。

著者プロフィール

西村多寿子(プレミアム医学英語教育事務所代表)にしむら たずこ氏。東京大学大学院医学系研究科国際保健学修士課程修了。外資系製薬会社、総合病院、産業保健分野での実務経験を経て独立。医学系の様々な領域の翻訳、記事執筆、講師歴のほか、医学系以外の研究者やビジネスパーソンとの交流にも力を入れている。

連載の紹介

西村多寿子の「10分で学ぶ論文英語のクールな表現」
循環器プレミアムで紹介された新着文献紹介記事の原著論文を中心に、論文によく使われる英語表現を紹介していきます。頻出単語や構文を理解すれば、先生方が執筆される論文の英語表現にも応用できると思います。また比較的短い英文には、自動読み上げ音声もついていますので、英語の発音も練習してみてください。

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