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英語論文に学ぶ「研究目的のクールな表現」

2013/12/24

 今回は、「研究目的の表現」を取り上げます。N Engl J Med誌であれば、論文の2ページ目、緒言の最後(研究方法[Methods]の直前)のパラグラフの後半部分を探してみてください。

 以下のような表現がありました(試験名は大文字のみ表記)。

(1) In AMPLIFY trial, we compared apixaban with conventional anticoagulant therapy in patients with acute symptomatic venous thromboembolism.

(2) In SERAPHIN, we investigated whether long-term treatment with macitentan reduces morbidity and mortality among patients with pulmonary arterial hypertension.

(3) The CHAMPION PHOENIX trial was designed to evaluate prospectively whether cangrelor does indeed reduce ischemic complications of PCI.

【(1)~(3)の音声ファイル⇒こちらです(協力:HOYAサービス株式会社)

 この部分の記述は、「われわれがこの研究を行った」とアピールする意図があるためか、「we」を主語にした論文が多いです。(1)と(2)の文構造は、

(1) We compared【治療法A】with 【治療法B】 in patients with 【疾患】.
(2) We investigated whether 【主+述(現在形)】among patients with 【疾患】.

 whetherの後につづくlong-term treatment with macitentan reduces morbidity and mortality は一見長くて難しそうですが、文の骨組みをシンプルに考えると、whether treatment reduces morbidity (治療が罹患率を下げるかどうか)だけになります。前後の単語を加えれば、この研究は「マシテンタンによる長期治療が罹患率と死亡率を下げるか」を検討したことが分かります。

(3) 【試験名】 was designed to evaluate prospectively whether【主+述(現在形)】.

 whether以下は(2)と似ています。whether cangrelor does indeed reduce ischemic complicationsのdoesと indeed は、直前までの議論の流れを受けて、「カングレロールは、“本当に”虚血性合併症を減らせるのか」と強調するために使っています。この2語をなくして whether canglelor reduces~としても意味は通りますが、doesが消えるとreduceに三単現(三人称単数現在)のsがつきます。「三単現なんて言葉、久しぶりに聞いた」という方が多いかもしれませんね(笑)。

 他の論文の研究目的の記述も見てみましょう。

(4) We conducted CHANCE trial to test the hypothesis that 3 months of treatment with a combination of clopidogrel and aspirin would reduce the risk of recurrent stroke, as compared with aspirin alone, among patients with acute high-risk TIA or minor ischemic stroke.

(5) Here we present the results of CHEST-1, a phase 3 study investigating the efficacy and side-effect profile of riociguat in patients with chronic thromboembolic pulmonary hypertension who were considered by experienced surgeons to be ineligible for surgery or who had persistent or recurrent pulmonary hypertension after pulmonary endarterectomy.

 かなりの長文ですが、英文の構造自体はそれほど複雑ではありません。

(4) We conducted 【試験名】 to test the hypothesis that 【治療法X】 would reduce the risk of 【評価項目】, as compared with【治療法Y】, among patients with【疾患】.

(5) We present the results of 【試験名】, a phase 3 study investigating 【調査内容】in patients with 【疾患】 who were 【患者の特徴1】 or who had【患者の特徴2】.

 あと5~6分お時間のある方、論文執筆中でカッコイイ英語表現をお探しの方は、次ページにお進みください。(1)~(5)の訳例も載っています。

著者プロフィール

西村多寿子(プレミアム医学英語教育事務所代表)にしむら たずこ氏。東京大学大学院医学系研究科国際保健学修士課程修了。外資系製薬会社、総合病院、産業保健分野での実務経験を経て独立。医学系の様々な領域の翻訳、記事執筆、講師歴のほか、医学系以外の研究者やビジネスパーソンとの交流にも力を入れている。

連載の紹介

西村多寿子の「10分で学ぶ論文英語のクールな表現」
循環器プレミアムで紹介された新着文献紹介記事の原著論文を中心に、論文によく使われる英語表現を紹介していきます。頻出単語や構文を理解すれば、先生方が執筆される論文の英語表現にも応用できると思います。また比較的短い英文には、自動読み上げ音声もついていますので、英語の発音も練習してみてください。

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