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心臓Naチャネルの活性化・不活性化メカニズムが明らかに

2022/01/19
古川 哲史(東京医科歯科大学難治疾患研究所)

 心臓のナトリウム(Na)チャネルは、1ミリ秒以内に活性化して活動電位を発生します。その後、2~3ミリ秒で不活性化し、次の活動電位発生の準備をします。この際、心臓Naチャネル

閉鎖状態→活性化状態(開口状態)→不活性化状態

という状態変化を取ります。この状態変化のうち、閉鎖状態と不活性化状態についてはその構造が解明されていますが、活性化状態(開口状態)では解明されていません。このため、活性化(閉鎖状態→活性化状態)と不活性化(活性化状態→不活性化状態)の機序が明らかにされていないのが現状です。

 活性化状態(開口状態)の構造が明らかになっていない主な理由は、心臓Naチャネルが2~3ミリ秒のうちに不活性化してしまうため、活性化状態の結晶を得ることが困難なためです。先天性のQT延長症候群は、心臓Naチャネルに遺伝子変異があり、心臓Naチャネルの不活性化が傷害されて活性化状態が維持され、活動電位持続時間を延長することによってQT延長が引き起こされます。このうち、QT延長症候群3型(LQT3)で最初に見つかった変異で、かつ最も頻度の高い変異であるQQQ変異を用いて、活性化状態の心臓Naチャネルの構造を解析し、活性化と不活性化のメカニズムを解明した研究結果が報告されました。

著者プロフィール

古川哲史(東京医科歯科大学難治疾患研究所生体情報薬理学分野教授)ふるかわてつし氏。89年東京医科歯科大学大学院医学研究科博士課程修了。米国マイアミ心臓研究所、マイアミ大学留学を経て、94年東京医科歯科大学難治疾患研究所自律生理分野・助手。99年秋田大学医学部第一生理学講座・助教授、2003年4月より現職。

連載の紹介

古川哲史の「基礎と臨床の架け橋」
臨床医から基礎医学の研究に身を転じた古川哲史氏に、ワンランク上の臨床を実践するために知っておいた方がいい基礎知識を、論文トピックスを材料に解き明かしてもらいます。

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