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心臓周囲の脂肪細胞と心代謝疾患の関係は?
鍵はビタミンA(レチノール)系

2021/08/16
古川 哲史(東京医科歯科大学難治疾患研究所)

 脂肪組織の増大は心血管疾患の危険因子であり、両者の相互作用からもたらされる病態を「心代謝疾患(cardio-metabolic disorder)」と呼びます。白色脂肪、皮下脂肪、内臓脂肪の心代謝疾患における役割は徐々に明らかになっており、中でも内分泌組織としての脂肪の役割が重要視されています。

 一方で、心臓の周囲にも脂肪組織が存在します。この心臓を取り巻く脂肪組織が心代謝疾患に与える影響についてはまだあまり明らかになっていません。心臓を取り巻く脂肪は、以下の3つに分類されます。

・心外膜脂肪(epicardial fat):心筋の外壁と臓側心膜の間に存在
・心膜脂肪(pericardial fat):臓側心膜と壁側心膜の間に存在
・傍心臓脂肪(paracardial fat):臓側心膜の外側、血管の周囲に存在

 肥満の人では傍心臓脂肪(paracardial fat; pCF)が増えており、冠動脈疾患の予測因子となることが知られています。ところが、遺伝子改変により傍心臓脂肪を操作する動物モデルがないために、傍心臓脂肪の分子レベルでの役割は分かっていません。今回取り上げる論文では、ビタミンA(レチノール)系が傍心臓脂肪の病態生理学的な役割に関与することを示唆しています。

著者プロフィール

古川哲史(東京医科歯科大学難治疾患研究所生体情報薬理学分野教授)ふるかわてつし氏。89年東京医科歯科大学大学院医学研究科博士課程修了。米国マイアミ心臓研究所、マイアミ大学留学を経て、94年東京医科歯科大学難治疾患研究所自律生理分野・助手。99年秋田大学医学部第一生理学講座・助教授、2003年4月より現職。

連載の紹介

古川哲史の「基礎と臨床の架け橋」
臨床医から基礎医学の研究に身を転じた古川哲史氏に、ワンランク上の臨床を実践するために知っておいた方がいい基礎知識を、論文トピックスを材料に解き明かしてもらいます。

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