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洞調律獲得のカギは細胞接着の減少!

2021/07/09
古川 哲史(東京医科歯科大学難治疾患研究所)

 洞結節の細胞数は、作業心筋に比べるとはるかに少ないのですが、少数の細胞からなる洞結節で産生された電気的シグナルが、多数の細胞からなる心臓全体をいかにして興奮させるのかはよく分かっていません。この疑問は「source-sink mismatch」と呼ばれています。

 また、洞結節細胞に隣接する心房筋の静止膜電位は-90mV程度と深く、この深い膜電位に引っ張られるため(これを「電気緊張性作用」といいます)、洞結節の自動拍動は抑制されます。この2つの障害を乗り越えて、洞結節が自律拍動を可能にするメカニズムは、30年来の謎とされていました。

 心臓の発生において、洞結節細胞は心房筋が完成してから遅れて侵入します。その侵入時点では洞調律は獲得されていませんが、その後の短時間で洞調律が獲得されます。今回取り上げる論文では、発生の初期過程を検討し、洞調律を獲得する機序を明らかにしました。

著者プロフィール

古川哲史(東京医科歯科大学難治疾患研究所生体情報薬理学分野教授)ふるかわてつし氏。89年東京医科歯科大学大学院医学研究科博士課程修了。米国マイアミ心臓研究所、マイアミ大学留学を経て、94年東京医科歯科大学難治疾患研究所自律生理分野・助手。99年秋田大学医学部第一生理学講座・助教授、2003年4月より現職。

連載の紹介

古川哲史の「基礎と臨床の架け橋」
臨床医から基礎医学の研究に身を転じた古川哲史氏に、ワンランク上の臨床を実践するために知っておいた方がいい基礎知識を、論文トピックスを材料に解き明かしてもらいます。

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