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新型コロナによる心機能障害の治療薬を探る

2021/05/13
古川 哲史(東京医科歯科大学難治疾患研究所)

 新型コロナウイルスSARS-CoV-2)の感染拡大が続く中、SARS-CoV-2感染による心機能への影響を示唆する研究結果が次々と報告されています。例えば、心疾患を持つと死亡率が高い(JAMA Cardiol. 2020;5:802-10.; JAMA. 2020;323:1239-42.)、SARS-CoV-2感染による入院患者の20~30%が心機能障害を合併する(JAMA Cardiol. 2020;5:811-8.)、約30%の入院患者では血圧低下により昇圧薬の投与が必要となる(JAMA Cardiol. 2020;5:1265-73.; Circulation. 2020;142:342-53.)──といった臨床データがあります。また、68~78%のSARS-CoV-2感染患者では、退院後も心機能障害が残るというデータもあります(N Engl J Med. 2020;382:2372-4.)。ちなみに、SARS-CoV-2感染と関連する可能性のある心機能障害の主体は、右室機能障害と左室の拡張障害です(Circulation. 2020;142:342-53.)。

 ところが、SARS-CoV-2感染に伴う心機能障害の機序や治療法に関しては、ほとんど分かっていないのが現状です。2021年4月15日版のCell誌で、ヒトiPS由来心臓オルガノイドを用いてSARS-CoV-2感染に伴う心機能障害の機序を検討し、治療薬シーズを提案する研究が報告されました。

著者プロフィール

古川哲史(東京医科歯科大学難治疾患研究所生体情報薬理学分野教授)ふるかわてつし氏。89年東京医科歯科大学大学院医学研究科博士課程修了。米国マイアミ心臓研究所、マイアミ大学留学を経て、94年東京医科歯科大学難治疾患研究所自律生理分野・助手。99年秋田大学医学部第一生理学講座・助教授、2003年4月より現職。

連載の紹介

古川哲史の「基礎と臨床の架け橋」
臨床医から基礎医学の研究に身を転じた古川哲史氏に、ワンランク上の臨床を実践するために知っておいた方がいい基礎知識を、論文トピックスを材料に解き明かしてもらいます。

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