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成長に適応する人工弁のヒントは静脈弁にあり
先天性心疾患でも再置換手術が不要な人工心臓弁の開発

2020/03/13
古川 哲史(東京医科⻭科⼤学難治疾患研究所)

 先天性心疾患を有する子どもは、全世界で毎年135万人誕生しているとも言われています。その25%が心臓弁に異常があり、弁置換手術を必要とします。

 使用する置換弁として、現時点ではウシの心膜やブタの大動脈弁を用いた生体弁、もしくはカーボンやチタンでできた人工弁が用いられていますが、これらは子供の身体的成長に適応することができないため、繰り返し開胸手術による弁置換を施行する必要があります。2歳未満で弁置換手術を受けた子供は、成人に達するまでに平均5回の開胸手術を必要とします。これは小児にとって大きな負担となることから、身体的成長に適応できる人工弁の開発が強く求められています。

 このほど、静脈弁にヒントを得て作られた人工弁が、身体的成長に適応でき、再置換手術が不要となることを示すproof-of-concept(概念実証、POC)が、in vitro実験およびin vivo実験で得られたとの論文が発表されました。

著者プロフィール

古川哲史(東京医科歯科大学難治疾患研究所生体情報薬理学分野教授)ふるかわてつし氏。89年東京医科歯科大学大学院医学研究科博士課程修了。米国マイアミ心臓研究所、マイアミ大学留学を経て、94年東京医科歯科大学難治疾患研究所自律生理分野・助手。99年秋田大学医学部第一生理学講座・助教授、2003年4月より現職。

連載の紹介

古川哲史の「基礎と臨床の架け橋」
臨床医から基礎医学の研究に身を転じた古川哲史氏に、ワンランク上の臨床を実践するために知っておいた方がいい基礎知識を、論文トピックスを材料に解き明かしてもらいます。

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