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陽性変力作用にCaチャネルのリン酸化は不要!

2020/02/13
古川 哲史(東京医科歯科大学難治疾患研究所)

 今回は、すぐには臨床には結びつかないものの、今まで当然のこととして捉えてきたことがどうもそうではなさそうだ、という予想外の展開をご紹介します。

 興奮したり、運動したりして交感神経が活性化されると、心拍出量と心拍数が増える「陽性変力・変時作用(positive inotropic/chronotropic effects)」は、誰もが知っている現象です。急性心不全患者に対して、陽性変力作用を期待してカテコラミンを投与することは、循環器医であれば日常茶飯事でしょう。これは、交感神経β受容体下流のリン酸化酵素(protein kinase A[PKA])が活性化され、L型Ca2+チャネルの活性が増強することを期待しているわけです。

 このメカニズムとして、これまでは、PKAがL型Ca2+チャネルをリン酸化するからだと強く信じられてきました。ところがこのほど、PKAは関係するものの、L型Ca2+チャネルの活性増強にはチャネル自身のリン酸化は必要ないという予想外の事実が、Nature誌に掲載された論文で明らかにされました。

著者プロフィール

古川哲史(東京医科歯科大学難治疾患研究所生体情報薬理学分野教授)ふるかわてつし氏。89年東京医科歯科大学大学院医学研究科博士課程修了。米国マイアミ心臓研究所、マイアミ大学留学を経て、94年東京医科歯科大学難治疾患研究所自律生理分野・助手。99年秋田大学医学部第一生理学講座・助教授、2003年4月より現職。

連載の紹介

古川哲史の「基礎と臨床の架け橋」
臨床医から基礎医学の研究に身を転じた古川哲史氏に、ワンランク上の臨床を実践するために知っておいた方がいい基礎知識を、論文トピックスを材料に解き明かしてもらいます。

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