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心臓の線維化に対するCAR-T細胞療法は有望か?

2019/12/09
古川 哲史(東京医科歯科大学難治疾患研究所)

 心臓の線維化は、高血圧性心疾患、虚血性心疾患など、様々な心疾患で見られる病理変化です。心機能の低下・心不全の発症をもたらし、「リモデリング」あるいは「構造的リモデリング」などと呼ばれます。ところが、ダイレクトに心臓の線維化を標的とした効果的な治療法は今のところありません。

 「CAR-T細胞療法」は、遺伝子工学技術を用いた個別化癌治療です。癌細胞の表面には特定の抗原が発現しますが、これに対するキメラ抗原受容体(CAR; chimeric antigen receptor)を発現する患者さん自身のT細胞を設計し、これを患者さんに投与するのがCAR-T細胞療法です。特に難治性のがんの治療法として普及が期待されており、日本でも白血病に対する「キムリア」が2019年3月に承認されました。CAR技術は現在第3世代まで開発されていますが、その詳細を知りたい方は総説(例、Drug Delivery System 2013;28(1):35-44)などを当たってみてください。

 今回、心臓の線維化に対するCAR-T細胞療法のproof of concept(POC; 治療法となり得るという仮説の実証)を、マウスを用いて検討したという論文が発表されました。

著者プロフィール

古川哲史(東京医科歯科大学難治疾患研究所生体情報薬理学分野教授)ふるかわてつし氏。89年東京医科歯科大学大学院医学研究科博士課程修了。米国マイアミ心臓研究所、マイアミ大学留学を経て、94年東京医科歯科大学難治疾患研究所自律生理分野・助手。99年秋田大学医学部第一生理学講座・助教授、2003年4月より現職。

連載の紹介

古川哲史の「基礎と臨床の架け橋」
臨床医から基礎医学の研究に身を転じた古川哲史氏に、ワンランク上の臨床を実践するために知っておいた方がいい基礎知識を、論文トピックスを材料に解き明かしてもらいます。

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