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機械学習で心電図から心房細動発症を高精度予測

2019/10/21
古川 哲史(東京医科歯科大学難治疾患研究所)

 脳梗塞の3分の1近くが、原因がよく分からない「塞栓源不明の脳塞栓症(embolic stroke of undetermined source[ESUS])」であると言われています。ESUS患者を2年間追跡した研究では、31.7%に心房細動が検出されています(Eur Heart J. 2015;36:1660-8.)。すなわち、ESUSのうち一定程度は、心房細動が原因と考えられます。

 そこで、ESUS患者に予防的に抗凝固薬を投与した研究も複数行われていますが、残念ながら有効性は確認されていません(N Engl J Med. 2018;378:2191-2201.)。むしろ副作用の方が問題となっており、ESUS患者でもまずは心房細動を検出する必要がある、というのがコンセンサスとなっています。

 ESUS患者における48時間の心電図記録では、3.2~16.1%で心房細動が検出されるに過ぎませんが(N Engl J Med. 2014;370:2467-77)、ループレコーダー植え込みによる36カ月間の心電図記録では、30%に心房細動が検出されました(N Engl J Med. 2014;370:2478-86)。つまり、より長い期間の心電図のモニタリングが必要ということになりますが、ループレコーダー植え込みは侵襲的であり、また医療費もかさむことから、より非侵襲的で簡便な検出法の確立が望まれます。

 そんな中、洞調律時心電図機械学習から、心房細動の発症を高精度に予測できることを明らかにしたとの論文が、Mayo clinicの研究グループから発表されました。

著者プロフィール

古川哲史(東京医科歯科大学難治疾患研究所生体情報薬理学分野教授)ふるかわてつし氏。89年東京医科歯科大学大学院医学研究科博士課程修了。米国マイアミ心臓研究所、マイアミ大学留学を経て、94年東京医科歯科大学難治疾患研究所自律生理分野・助手。99年秋田大学医学部第一生理学講座・助教授、2003年4月より現職。

連載の紹介

古川哲史の「基礎と臨床の架け橋」
臨床医から基礎医学の研究に身を転じた古川哲史氏に、ワンランク上の臨床を実践するために知っておいた方がいい基礎知識を、論文トピックスを材料に解き明かしてもらいます。

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