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疾患iPS細胞を用いた拡張型心筋症の創薬研究

2019/09/30
古川 哲史(東京医科歯科大学難治疾患研究所)
疾患iPS細胞を用いた拡張型心筋症の創薬研究の画像

 iPS細胞は2007年に山中伸弥氏により開発され、翌年の2008年には、直ちに内閣府からiPS細胞医療応用のロードマップが発表されました。これは大きく分けて
(1)薬物の毒性、効果評価系
(2)疾患iPS細胞と創薬
(3)細胞移植治療

 ところが予想に反して、2017年に加齢黄斑変性に対する網膜細胞移植、2018年にパーキンソン病に対するドパミン神経前駆細胞の移植、2019年には角膜上皮幹細胞疲弊症(僕にとっては初めて聞く病気でした)に角膜上皮シートの移植がそれぞれ行われ、細胞移植治療は着実に臨床応用が進められています。これに対して、(1)と(2)は思いのほか進展が見られていません。そんな中、疾患iPS細胞を用いた創薬にかすかな光が見える論文が、2019年8月にNature誌に発表されました。ヒトiPS細胞由来分化心筋細胞を使って、拡張型心筋症の新たな創薬の可能性を示す研究です。

著者プロフィール

古川哲史(東京医科歯科大学難治疾患研究所生体情報薬理学分野教授)ふるかわてつし氏。89年東京医科歯科大学大学院医学研究科博士課程修了。米国マイアミ心臓研究所、マイアミ大学留学を経て、94年東京医科歯科大学難治疾患研究所自律生理分野・助手。99年秋田大学医学部第一生理学講座・助教授、2003年4月より現職。

連載の紹介

古川哲史の「基礎と臨床の架け橋」
臨床医から基礎医学の研究に身を転じた古川哲史氏に、ワンランク上の臨床を実践するために知っておいた方がいい基礎知識を、論文トピックスを材料に解き明かしてもらいます。

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