日経メディカルのロゴ画像

「骨髄由来単球が組織に遊走し変換」の常識が覆る
ヒト心臓には2種類のマクロファージが存在

2018/07/06

 マクロファージは、細菌感染や組織障害に対して保護的に働く一方で、マクロファージによりもたらされる炎症が遷延すると心不全などの慢性疾患の原因となります。この生理的および病的役割の両方をもつマクロファージの由来は、過去40年にわたり「骨髄由来単球が組織に遊走し、変換されることによって産生される」と信じられてきました。この概念がマウス実験で覆されつつあります。

 組織には骨髄由来のマクロファージに加えて組織在住のマクロファージがあり、前者は従来の考え通り骨髄単球細胞に由来しますが、組織在住マクロファージの由来は「卵黄嚢(yolk sac)から発生初期に組織に遊走し、組織の形成に重要な働きをするとともに、組織で自己複製し成体まで存在し続ける」と考えられるようになってきました。

 心臓でも、組織在住マクロファージは胎生期の心筋細胞の増殖、冠動脈の形成に関与し、心臓の中で自己増殖し成体心まで存在し続けます。2017年8月の本ブログ(「心臓在住マクロファージ」の役割)で取り上げた房室結節の伝導に関係するマクロファージもこの組織在住マクロファージに該当します。

 これらはマウス実験で得られた知見ですが、ヒト心臓でもこの新しい概念があてはまることが次の論文で明らかになりました。

著者プロフィール

古川哲史(東京医科歯科大学難治疾患研究所生体情報薬理学分野教授)ふるかわてつし氏。89年東京医科歯科大学大学院医学研究科博士課程修了。米国マイアミ心臓研究所、マイアミ大学留学を経て、94年東京医科歯科大学難治疾患研究所自律生理分野・助手。99年秋田大学医学部第一生理学講座・助教授、2003年4月より現職。

連載の紹介

古川哲史の「基礎と臨床の架け橋」
臨床医から基礎医学の研究に身を転じた古川哲史氏に、ワンランク上の臨床を実践するために知っておいた方がいい基礎知識を、論文トピックスを材料に解き明かしてもらいます。

この記事を読んでいる人におすすめ