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要注意、エゼチミブとワルファリンの薬物相互作用

2015/02/24

 心房細動に合併する心原性脳塞栓は寝たきり老人の主要原因となるなど、超高齢化社会を迎えたわが国では喫緊の課題となっている。その予防に使用されるワルファリンは、VitK依存性凝固因子II、VII、IX、Xの活性化を抑制することにより抗凝固作用を示す。VitKは脂溶性ビタミンであり体内で合成することができず、生体内のVitKレベルは食事性に摂取されるVitKに正比例する。このため、ワルファリン服用中の患者はクロレラ、ホウレンソウ、納豆などのVitKを多く含む食事が制限される。ところが驚くことに腸からVitKを吸収する機序は今まで分かっていなかった。

 今回取り上げる東京大学医学部薬剤部からの論文では、腸からのVitK吸収はコレステロールトランスポーターのNieman-Pick C1-like 1(NPC1L1)により行われることが、初めて明らかとなった。

論文
NPC1L1は腸からのVitK吸収の主要制御因子であり、warfarin治療の修飾因子である
NPC1L1 is a key regulator of intestinal vitamin K absorption and a modulator of warfarin therapy
T Takada et al.
Science Translational Medicine 2015;7:275ra23

 ワルファリン作用は、併用薬の影響をしばしば受けることも特徴の1つである。NPC1L1は脂質異常症治療薬エゼチミブ(商品名ゼチーア)の標的分子であり、本論文ではワルファリン服用者でエゼチミブを併用すると、肝臓でのVitKレベルが低下しワルファリン作用が増強することも示された。

著者プロフィール

古川哲史(東京医科歯科大学難治疾患研究所生体情報薬理学分野教授)ふるかわてつし氏。89年東京医科歯科大学大学院医学研究科博士課程修了。米国マイアミ心臓研究所、マイアミ大学留学を経て、94年東京医科歯科大学難治疾患研究所自律生理分野・助手。99年秋田大学医学部第一生理学講座・助教授、2003年4月より現職。

連載の紹介

古川哲史の「基礎と臨床の架け橋」
臨床医から基礎医学の研究に身を転じた古川哲史氏に、ワンランク上の臨床を実践するために知っておいた方がいい基礎知識を、論文トピックスを材料に解き明かしてもらいます。

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