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塞栓を食べる血管内皮細胞が主役
tPA治療を発症6時間で無効にする「angiophagy」

2014/04/01

 日経メディカルでも抗凝固薬の話題が毎月のように取り上げられている。このことからも分かるように、わが国では塞栓症は大きな国民健康問題だ。ブログ「心房細動塾」の著者山下武志先生が以前「出血は生体内で予想以上の頻度で起こっているが、止血機構があるので気づかない」と話されていた。なるほどと思ったが、実は塞栓も生体内で思った以上に頻繁に形成されているようだ。さらに、塞栓を除去する「angiophagy」の存在も明らかにされた。

 血管内に塞栓ができると生体はこれを除去しようする防御機構を働かせるので、塞栓形成も通常は表面化しない。この防御機構として、これまでは「血流による物理的な除去」と「内因性の線溶系による塞栓溶解」の2つが知られていた。最近、新たに内皮細胞が塞栓を取り込んで血管外に排除する「angiophagy」と呼ばれる防御機構が第3の内因性塞栓除去システムとして存在することが明らかになった。“phagy”とは「phagocyte=食細胞」からも分かるように食べるという意味であり、angiophagyは「血管内皮細胞が塞栓を食べる」という意味合いでついた呼び名のようだ。今回は、angiophagyのためにtPA治療が6時間以降無効となる可能性などに言及した次の論文を紹介する。

著者プロフィール

古川哲史(東京医科歯科大学難治疾患研究所生体情報薬理学分野教授)ふるかわてつし氏。89年東京医科歯科大学大学院医学研究科博士課程修了。米国マイアミ心臓研究所、マイアミ大学留学を経て、94年東京医科歯科大学難治疾患研究所自律生理分野・助手。99年秋田大学医学部第一生理学講座・助教授、2003年4月より現職。

連載の紹介

古川哲史の「基礎と臨床の架け橋」
臨床医から基礎医学の研究に身を転じた古川哲史氏に、ワンランク上の臨床を実践するために知っておいた方がいい基礎知識を、論文トピックスを材料に解き明かしてもらいます。

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