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心血管疾患の「遺伝子治療」も再び脚光を浴びるか

2014/02/05

 遺伝子治療は、1990年に米国で「First kids with new gene」というキャッチフレーズでアデノシンデアミナーゼ欠損症に対して行われ一躍脚光を浴びた。日本でも1995年に北海道大学で同じ疾患に対して行われたが、その後はiPS細胞などの再生医療に押され気味であまり話題とならない。ところがここにきて、欧米を中心に遺伝子治療が再注目の兆しを見せている。もちろん、心血管疾患もターゲットになっている。

 米NIHがTarget 10として標的とする10疾患を発表し、グラクソ・スミスクライン社やバクスター社などのメガファーマがこぞって遺伝子治療に参入し、2012年には欧州で世界初の遺伝子治療薬が承認された。The Journal of Gene Medicine誌のホームページに、遺伝子治療の臨床研究プロトコールが登録されている。だが、全部で3397件が登録されているが、日本から登録はわずか26件だけである。厚生労働省で昨年「第1回遺伝子治療臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会」が行われ、そのパワーポイントがインターネットにアップされている(こちら)。これを見ても日本での遺伝子治療の遅れが問題となっている。

 上記のHPで登録されている遺伝子治療臨床研究プロトコールのうち、心血管疾患に対するプロトコールは8.3%を占め、癌・単一遺伝子疾患に次いで第3位である。これは、心臓への遺伝子導入が飛躍的に改善されたことが大きな要因となっている。今月は、マウスにおける肥大型心筋症(HCM)の遺伝子治療を扱った下記の論文を紹介する。

著者プロフィール

古川哲史(東京医科歯科大学難治疾患研究所生体情報薬理学分野教授)ふるかわてつし氏。89年東京医科歯科大学大学院医学研究科博士課程修了。米国マイアミ心臓研究所、マイアミ大学留学を経て、94年東京医科歯科大学難治疾患研究所自律生理分野・助手。99年秋田大学医学部第一生理学講座・助教授、2003年4月より現職。

連載の紹介

古川哲史の「基礎と臨床の架け橋」
臨床医から基礎医学の研究に身を転じた古川哲史氏に、ワンランク上の臨床を実践するために知っておいた方がいい基礎知識を、論文トピックスを材料に解き明かしてもらいます。

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