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遺伝性突然死「ブルガダ症候群」の考え方に新展開
遺伝子-遺伝子相互作用epistasisが重要?

2013/09/02

 突然死の頻度は年間0.1%程度と言われる。多くが虚血性心疾患に伴う心室細動により起こるが、5-10%は基礎心疾患がない心臓に生じる心室細動を原因とし、特発性心室細動と呼ばれる。特発性心室細動の中で、スペイン人医師ブルガダ兄弟によって報告された右側胸部誘導のJ点優位のST上昇を伴うものをブルガダ症候群と呼ぶ。その「ブルガダ症候群」の考え方に新展開につながる道が切り開かれた。

 ブルガダ症候群は、メンデル遺伝様式に従う稀な遺伝性疾患と考えられており、原因遺伝子として少なくとも13遺伝子がこれまでに報告されている。最も多いのが心臓の電位依存性Na+チャネルをコードするSCN5Aであるが、ブルガダ症候群の約20%を占めるにすぎない。他の変異は極めて稀(1%以下)であり、すべてを含めても原因遺伝子が同定されているのは30%程度にすぎない。このように、ブルガダ症候群の病因、とくに遺伝学に関しては通常のメンデル遺伝では理解できない疑問点が多い。今回下記の論文で、ブルガダ症候群に対して網羅的な全ゲノム相関解析(GWAS)が行われ、3つのコモン多型がブルガダ症候群と関連することが明らかとなった。今回の論文を受けて、ブルガダ症候群の病因に関する疑問点が少しでも解決されるのだろうか?

著者プロフィール

古川哲史(東京医科歯科大学難治疾患研究所生体情報薬理学分野教授)ふるかわてつし氏。89年東京医科歯科大学大学院医学研究科博士課程修了。米国マイアミ心臓研究所、マイアミ大学留学を経て、94年東京医科歯科大学難治疾患研究所自律生理分野・助手。99年秋田大学医学部第一生理学講座・助教授、2003年4月より現職。

連載の紹介

古川哲史の「基礎と臨床の架け橋」
臨床医から基礎医学の研究に身を転じた古川哲史氏に、ワンランク上の臨床を実践するために知っておいた方がいい基礎知識を、論文トピックスを材料に解き明かしてもらいます。

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