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肺高血圧症の新たな治療標的が浮上
叢状病変形成に「apelin」が関与

2013/02/01

 肺動脈性肺高血圧症の病理所見では、肺動脈の狭窄とこれに伴う血管内皮細胞平滑筋細胞の増殖を特徴とし、後者は「叢状病変plexiform lesion(PFL)」と呼ばれる。肺動脈の狭窄にはエンドセリンシグナルが関与し、エンドセリン受容体拮抗薬bosentanが肺高血圧の治療薬として使われる。一方、叢状病変plexiform lesionのメカニズムは不明であり、その治療法も確立されていない。今回、そんな叢状病変形成に「アペリンapelin」と呼ばれるシグナルが関与することが以下の論文で示された。

肺高血圧症におけるmiR-424・miR-503が関与する血管内皮apelin-FGFリンクの異常
An endothelial apelin-FGF link mediated by miR-424 and miR-503 is disrupted in pulmonary arterial hypertension
Kim J et al.
Nat. Med. 2013;19:74-82

 循環システムは、酸素化された血液を末梢に運ぶ高圧系の「体循環」と脱酸素化された血液を肺に運ぶ低圧系の「肺循環」の2つのシステムからなる。体循環の血圧上昇、いわゆる高血圧患者はわが国では約4000万人にも上ると言われる。心不全や脳血管障害の発症とも深く関係することから、その病態や治療は詳細に検討されている。一方、肺循環の血圧上昇は肺高血圧症と呼ばれ、2003年に発表されたベニス分類では、表1に示した5つに分類される。

著者プロフィール

古川哲史(東京医科歯科大学難治疾患研究所生体情報薬理学分野教授)ふるかわてつし氏。89年東京医科歯科大学大学院医学研究科博士課程修了。米国マイアミ心臓研究所、マイアミ大学留学を経て、94年東京医科歯科大学難治疾患研究所自律生理分野・助手。99年秋田大学医学部第一生理学講座・助教授、2003年4月より現職。

連載の紹介

古川哲史の「基礎と臨床の架け橋」
臨床医から基礎医学の研究に身を転じた古川哲史氏に、ワンランク上の臨床を実践するために知っておいた方がいい基礎知識を、論文トピックスを材料に解き明かしてもらいます。

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