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最近注目のアルドステロン関連高血圧
アルドステロン拮抗薬が第4選択降圧剤として推奨される根拠

2012/10/01

 レニン・アルドステロン(RA)系抑制薬やCa拮抗薬を使用してもコントロールできない高血圧では、降圧利尿薬の少量投与が有効である。それでも治療抵抗性を示す場合、2009年高血圧治療ガイドラインにはないが4剤目としてアルドステロン拮抗薬を用いることが海外を中心に推奨されている。このことは、日経メディカルでも2年前に、手に負えない高血圧Vol. 2で「治療抵抗性高血圧に『アルドステロン拮抗薬』」というタイトルで取り上げられている。今回は、アルドステロン関連高血圧の機序に関する次の論文を紹介する。

Amy McCurley et al.
Direct regulation of blood pressure by smooth muscle cell mineralocorticoid receptors
Nat. Med. 2012 [Epub ahead of print]

■アルドステロン拮抗薬の降圧作用
 アルドステロンは、腎集合管のミネラルコルチコイド受容体(MR)に作用しNa+の再吸収とK+の排泄を刺激する。この作用を阻害するアルドステロン拮抗薬では、腎集合管におけるNa+再吸収を抑制することが血圧降下作用のメカニズムと考えられていた。

 ところが、アルドステロン拮抗薬(エプレレノン)による血圧降下作用の検討を行った2つの臨床研究で、血圧降下に関するエプレレノンのresponderとnon-responderで腎作用のマーカーとして血漿K+上昇作用を比較すると両者に違いがなかった(J. Clin. Endocrinol. Metab. 2004;89:2736-2740)。このことから、アルドステロンの血圧降下作用は腎集合管に対する作用とは別のメカニズムで起こっている可能性が示唆される。

■アルドステロンの血管平滑筋直接作用
 本論文でMcCurleyらは、血管平滑筋のMR(SMC-MR)を特異的に欠損させたKOマウスを作成し、アルドステロンの血管直接作用の関与を検討している。マウスは、3~4カ月では成熟(adult)マウス、8カ月以上では加齢(aged)マウスと考えるが、図1Aに示すように成熟マウスの時期には野生型マウスとSMC-MR KOマウスで血圧に有意差はないが、加齢マウスになるとSMC-MR KOマウスで血圧が有意に低下する。すなわち、血管平滑筋のMRが加齢による血圧上昇に関与することが示唆される。

 図1Bでは、9カ月齢以上の加齢マウスで腎作用マーカーとして低Na+食投与後の尿中へのNa+排泄を比較したが両マウスで違いはなく、野生型マウスとSMC-MR KOマウスでは腎機能に違いがないことが確認される。

 図1Cでは、抵抗血管の筋原性緊張myogenic toneを比べているが、SMC-MR KOマウスで有意に低く、血圧の違いが血管に対する直接作用によることが示唆される。

著者プロフィール

古川哲史(東京医科歯科大学難治疾患研究所生体情報薬理学分野教授)ふるかわてつし氏。89年東京医科歯科大学大学院医学研究科博士課程修了。米国マイアミ心臓研究所、マイアミ大学留学を経て、94年東京医科歯科大学難治疾患研究所自律生理分野・助手。99年秋田大学医学部第一生理学講座・助教授、2003年4月より現職。

連載の紹介

古川哲史の「基礎と臨床の架け橋」
臨床医から基礎医学の研究に身を転じた古川哲史氏に、ワンランク上の臨床を実践するために知っておいた方がいい基礎知識を、論文トピックスを材料に解き明かしてもらいます。

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