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EPISODE 14
より低リスク者を対象としたPARTNER 2 trialの噂
コロンビア大学胸部外科・高山博夫

2011/06/16

Transapical TAVIを施行中の循環器内科医のDr. Leon(後向き左側)と心臓外科医のDr. Williams(後向き右側)。外科医が開胸し心尖部を露出した後、内科医がカテーテルを繰る。

 経カテーテル大動脈弁留置術transcatheter aortic valve insertionTAVI)のランダム化比較試験(RCT)であるPARTNER trialを主導し発表したことにより、当科チーフである胸部外科教授のDr. Craig R. Smithと循環器内科教授のDr. Martin B. Leon(写真)を始めとしたコロンビア大学病院のチームは、大きな脚光を浴びています。

 ご存知の通り、TAVIの大きな特徴の1つは、外科と内科が協力して実施するということです。スポットライトが当たる上記の2教授を現場で支える実行部隊は両科の混成ですが、僕自身の立場は3番目の外科医(といってもトップのDr. Smithは、ほとんど実手技にはかかわらないため、実質2番手となりましょう)であり、この技術の素晴らしさを目の当たりにしてきました。

 超高齢者で再手術症例や低心機能症例といった外科医にとっては難しい症例が、さくさくと治療されていきます。不明な長期成績とか脳梗塞の合併率とかの課題はありますが、大動脈弁疾患治療の将来を担っていく技術であることに、間違いはないと思われます。欧州ではどんどん臨床使用が進められており、僧帽弁への応用も早い時期から見受けられています。日本でも積極的に取り入れるべきでしょう。

 外科医としてもう1つの発見は、前述のようなハイリスクの患者さんが、かなりの手術侵襲に耐え得るということです。TAVIと大動脈弁置換術AVR)の比較試験に参加し、手術に割り付けられた多くの患者さんを執刀する機会がありましたが、当たり前の手技を丁寧に行えば、余力がなさそうに見えた方々でも元気に回復されます。これはDr. Smithが、PARTNER trialの結果発表時に強調していた通りです。

 さて、TAVI実行部隊の一員として小耳に挟んでいるトリビアをいくつか報告します。ただし、真偽のほどは定かではないので、噂ばなし程度に留めておいて下さい。

 PARTNER 2 trialが計画されています。対象患者を外科手術の中程度リスクまで引き下げるとのこと。現在手術を受けている患者の中で、リスクが高い方から3分の1程度がターゲットとなるようです。いよいよ本丸に切り込むということでしょう。

 血栓塞栓症から脳血管を保護するデバイスの開発も、進められています。内頸動脈ステント時に使用されるdistal protection deviceと同様のコンセプトです。
 

著者プロフィール

小船井 光太郎 氏
(牧港中央病院循環器内科・副院長)
おぶない こうたろう。1996年新潟大医学部卒、東京女子医大循環器内科入局。00年Beth Israel Medical Centerで内科・循環器内科研修。Columbia University循環器内科に移り専門医を取得、07年同科講師、10年より現職。

連載の紹介

小船井&高山の「米国心臓医療レポート」
高山 博夫 氏
(Columbia University胸部外科Assistant Professor)
たかやま ひろお。1996年東大医学部卒。同年同病院外科研修。2000年東大医学部付属病院胸部外科研修。03年University of Washington外科研修。07年Columbia University胸部外科研修。09年講師、11年より現職。

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