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EPISODE 13 TAVI vs. AVR
PARTNER試験コホートAの結果をどう読み解くか
牧港中央病院・小船井光太郎

2011/06/02

 皆様もう既にご存知とは思いますが、PARTNER試験コホートAの1年フォローアップの結果が、今年4月に米国ニューオーリンズで開催された米国心臓病学会(ACC2011)で発表されました(関連記事1)。この試験は今学会の一番の目玉であり、その結果の発表を世界中が待ちわびていたといっても過言ではないでしょう。

PARTNER試験とは

 簡単にPARTNER試験について、整理しておきましょう。本試験は、重度の大動脈弁狭窄症(AS)を対象に、バルーン拡張型の大動脈弁ステントであるSAPIEN(エドワーズ ライフサイエンス)を使った経カテーテル大動脈弁留置術TAVI)と、従来のASに対する治療法とを比較評価する臨床試験です。

 従来の外科的な大動脈弁置換術AVR)はハイリスクと考えられる重度AS患者1057例が、試験に参加しました。そのうち699例が、TAVIまたはAVRにランダム化される「コホートA」に、「AVRは不可能」と判断された残りの358例が、TAVIまたは内科的治療にランダム化される「コホートB」に、それぞれ割り付けられました。

 コホートBの結果は2010年のTCT(Transcatheter Cardiovascular Therapeutics)で発表され、New England Journal of Medicineにも論文が載りました(関連記事2)。TAVIが内科的治療に比べて非常に優れた結果であったことは、前回私が書いた「EPISODE 11」でお伝えした通りです。

 裏話になりますが、コホートBの結果はTCT2010で発表される前夜にNEJMのオンライン版で発表されてしまい、華々しいはずだった発表の注目度がやや下がってしまいました。今回のコホートAでは同時に論文は出さずに、「まずは学会での発表を」と慎重な作戦を取ったようです(笑)。いずれこちらもNEJMで発表される予定です。それでは、注目のコホートAの結果を紹介しましょう。

コホートAの試験デザイン

 重度ASがありAVRは可能だがハイリスクと判断された692例が、コホートAの対象となりました。これらの患者はまず、大腿動脈からアプローチするTAVI(trans-femoral:TF TAVI)が可能かどうか評価を受け、可能と判断された492例が、TF TAVIまたはAVRにランダムに割り付けられました。さらにTF TAVIは不可能と判断された20例は、心尖部からアプローチするTAVI(trans-apical:TA TAVI)またはAVRにランダムに割り付けられました。
 

著者プロフィール

小船井 光太郎 氏
(牧港中央病院循環器内科・副院長)
おぶない こうたろう。1996年新潟大医学部卒、東京女子医大循環器内科入局。00年Beth Israel Medical Centerで内科・循環器内科研修。Columbia University循環器内科に移り専門医を取得、07年同科講師、10年より現職。

連載の紹介

小船井&高山の「米国心臓医療レポート」
高山 博夫 氏
(Columbia University胸部外科Assistant Professor)
たかやま ひろお。1996年東大医学部卒。同年同病院外科研修。2000年東大医学部付属病院胸部外科研修。03年University of Washington外科研修。07年Columbia University胸部外科研修。09年講師、11年より現職。

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