前回は米国の心臓外科専門医制度について述べました。引き続いて今回は日本の制度について考えてみます。
日本では心臓外科単独ではなく、心臓血管外科医として心臓血管外科専門医認定機構から専門医の資格を取得します。心臓血管外科専門医認定機構は、日本胸部外科学会、日本心臓血管外科学会、日本血管外科学会の3学会により構成されています。
近年まで心臓外科医は、「胸部外科」専門医、つまり心臓外科・呼吸器外科・食道外科という解剖学的に近い臓器を扱える外科医として専門医を取得していましたが、再編により現在の形になりました。
ちなみに呼吸器外科医は呼吸器外科専門医を、食道外科医は消化器外科専門医を取得します。この再編は臨床的に理にかなっていると思われます。前回紹介した通り、米国では「胸部外科医」として専門医を取得していますが、これを日本式に変更することの是非が話題に上るようになってきています。
さて、日本での専門医新規申請資格は以下のようになっています。
1.日本国の医師免許証を有すること。
2.日本外科学会認定医、あるいは外科専門医または外科専門医筆記試験合格者であること。
3.卒後修練期間 7 年以上を有すること。
4.認定修練施設において 3 年以上の修練期間を有すること。
5.修練期間中に別に定める手術経験を有すること。
6.心臓血管外科学に関する別に定める一定の業績(学会発表、論文発表)
および研修実績(学会参加)を有すること。
(ア)査読制度のある全国誌以上の論文3編以上(筆頭論文1編以上を含む)
(イ)全国規模の学術集会において筆頭で3回以上(少なくとも1回は
日本胸部外科学会総会または日本心臓血管外科学会総会
または日本血管外科学会総会で発表)
(ウ)日本胸部外科学会総会または日本心臓血管外科学会総会
または日本血管外科学会総会に3回以上参加していること
7.日本胸部外科学会、日本心臓血管外科学会、日本血管外科学会のうちの
少なくとも 2 学会の会員であり、3年以上の会員歴を有すること。
9.主たる認定修練施設の修練責任者からの申請者の評価を含めた推薦状を添付すること。
推薦状には修練責任者の自筆署名と署名日を付けること。