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EPISODE 5 
英語プレゼンに役立つ小ワザ、お教えします
コロンビア大学循環器内科・小船井光太郎

2009/10/27

今年9月にサンフランシスコで行われた「TCT2009」のメインアリーナの様子

 海外の学会ではもちろんですが、国内でも英語でプレゼンテーションする学会が増えてきました。「日本人しかいないのに何で英語なの?」、「英語じゃ言いたいことの半分も言えない!聞きたいことの半分も聞けない!」、「馴染みの○○先生と英語でディスカッションなんてこっ恥ずかしい!」など、さまざまな意見はあると思います。

 しかし会議の言語を英語に統一するとその学会の国際化にもつながりますし、何より国際学会で発表するためのよい練習にもなります。ですから私は、英語を共通語とする学会が国内でもたくさん開催され、そこに医師がどんどん参加してプレゼンや質疑応答するのはよいことだと思います。

 英語のプレゼンの経験が少ない日本人医師の発表で感じるのは、欧米人から見て違和感を覚える「日本独自の言い回しや形式」が多いということです。日本国内の学会ならそれでよいのですが、海外の学会、特に米国で開催される国際学会で発表することを念頭に置いて、もう一歩、がんばってみたいところです。

 私はアメリカの学会で多くの日本人医師のプレゼンを聞いたことがあります。ちなみにその中でも感心するほど素晴らしいプレゼンをするのは、現・慈恵医大血管外科教授の大木隆生先生です。大木先生は大動脈の血管内治療に関しては第一人者で、アメリカの医療現場で長く活躍された方だから当然じゃないか、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、あれ程皆が聞き入るアメリカ式のプレゼンができる日本人に会うことはまずないのでは、と思うほどです。

 英語を母国語とする人たちは、彼らにとって標準的でない言い回しや言葉、発音の仕方を耳にすると、それが引っかかって、「外国人のプレゼンを聞いている」という意識が強くなります。すると、内容がすばらしいものであっても些細なことでチグハグした印象を与えてしまい、損をしてしまう傾向があります。今日は、日本人の医師のプレゼンで気付く、ちょっと気になる点をご紹介します。先生方の英語プレゼンのブラッシュアップに役立てていただければ幸いです。

使わない方がよい略語・用語

 日本では当たり前のように使われている略語なのだけれど、海外では通じなかったり、意味は分かるけれど違和感を覚えるものがあります。

 まずCAGです。ご存知、アンギオのことで日本では頻用されますが、実は、米国では使われません。通常、「Cardiac Cath(または単にCath)」か「Coronary angio(gram)」です。

 UCGといえば日本では心エコーのことですが、これは米国では全く使われていません。「Echo(cardiogram)」、「TTE」、「TEE」などを使います。

 日本では不安定狭心症を表す一般的な略語「UA」も、あまり使いません。Unstable anginaとスペルアウトする方がよいでしょう。

 OMIも、やはり、まず使いません。単にMI、またはSTEMI、NSTEMIのどちらかを使うのが普通。STEMI、 NSTEMIの読み方はそれぞれ「ステミ」、「ノンステミ(または[イ]ンステミ)」です。

 労作性狭心症を「Effort angina」と言っても間違いではありませんが、Exertional anginaと書くのが普通です。

著者プロフィール

小船井 光太郎 氏
(牧港中央病院循環器内科・副院長)
おぶない こうたろう。1996年新潟大医学部卒、東京女子医大循環器内科入局。00年Beth Israel Medical Centerで内科・循環器内科研修。Columbia University循環器内科に移り専門医を取得、07年同科講師、10年より現職。

連載の紹介

小船井&高山の「米国心臓医療レポート」
高山 博夫 氏
(Columbia University胸部外科Assistant Professor)
たかやま ひろお。1996年東大医学部卒。同年同病院外科研修。2000年東大医学部付属病院胸部外科研修。03年University of Washington外科研修。07年Columbia University胸部外科研修。09年講師、11年より現職。

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