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若い職員の尻を蹴り上げた患者の言い分

2016/04/05

 今回は「相手の目を見て話すことの大切さ」を教えてくれた事例を紹介したい。

 警察OBとして病院に勤め始めたころだ。「何か困ったことがあったら、いつでも相談に来てほしい」。そんなメッセージを全職員に向けて発して間もなくのこと。若い男性職員が血相を変えて、我々の部屋に飛び込んできた。

 「患者に蹴られました」
 「大丈夫ですか」
 「大丈夫ですが……」(尻をさする)
 「患者はどこに?」
 「まだ検査室にいます」
 「じゃすぐに行こう」

 私たちはこの若い職員と連れ立って、暴力を振るったという患者がいる検査室へ急いだ。歩きながら若い職員に話を聞くと、いきなり尻を蹴られたという。大きな音がした、とも。

 検査室に着くと、体格のしっかりした男性が待ち受けていた。見るからに格闘家風のその男性は私を見て、「あなたは警官か」と問うてきた。興奮して暴れているわけでもなく、至極冷静な口調だった。

 元警官だが、今はこの病院でトラブル対応に当たっている、などと伝える。その上で、「別室にて話を聞きたい」と申し出た。患者は申し出を受け、蹴られた職員ともども別室へ移動することになった。

 私は、職員に暴力を振るった事実の確認を求め、職員を蹴った理由を尋ねた。患者は素直に暴力を振るったことを認め、警察に突き出してもらっても構わないとまで言い切った。

 なぜ暴力行為に及んだのか?

 患者の言い分はこうだ。初めての検査で何も分からなかったところに、「それでは服を脱いで、上半身は下着だけになってください。脱ぎましたらこちらに来てください」と言われた。どこで脱げばいいのか、と尋ねると、職員は「そこで」と指で示しただけ。脱いだ服はどこに置けばよいのかと聞くと、「ロッカーがありますからその中へ」と告げられたが、どのロッカーを使えばよいのか分からない。

 この間のやり取りで、その職員は一度も患者の顔を見て話すことはなかったという。患者は「俺の話を聞いているのか」と腹を立て、職員の尻を蹴り上げたのだった。

連載の紹介

院内暴力・セクハラSOS
患者からの迷惑行為の代表格が、暴言・暴力。一方、女性の就業者が多い医療現場では、セクハラも困った問題です。長年、大学病院で渉外活動を担ってきた横内昭光氏(学校法人慈恵大学総務部渉外室名誉顧問)が代表を務める、警察OBらで構成する院内暴力対策研究会のメンバーを中心に、いざというときの対処法を指南します。
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