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慢性期病院のヘッドハントに応じた外科医の「読み」

2016/06/22
武元 康明(半蔵門パートナーズ)

 エグゼグティブ・サーチ(ヘッドハンティング)に携わる私どもが声を掛けさせていただく候補者の先生の多くは、転職するかしないかを最終判断する際、ご自身の診療スタイル・技能・能力を発揮できる環境かどうかを最も重視します。とりわけ急性期医療に関わる先生は、転職後も同じような環境で勤務したいという方が多いようです。

 ただ今後は、各都道府県が策定する「地域医療構想」などにより、急性期病床を減らし、急性期以降の機能に転換していくという病棟再編が加速します。そうした医療界の環境変化も、これからは転職を検討する上で重要な要素の1つになるでしょう。

 実際、弊社に寄せられる求人の中身を見ると、「急性期後」において専門性を持ちつつ、ジェネラルに対応できる医師を求める依頼が、がぜん増えています。今回ご紹介するのは、まさにそのような時代を先取りしたケースです。

「急性期でバリバリ活躍した先生を雇いたい」
 A病院から院長招へいの依頼があったのは2013年頃のこと。同病院は病床数150床、急性期以降の部分を得意とする、いわゆる慢性期病院です。その時点では、医療政策がどう進むか不明瞭な部分もありましたが、A病院の経営者は非常にアンテナの感度が高く、今のような状況になるということを仮説として立てていました。
 
 これまでは慢性期病院の院長というと、急性期の経験が一定程度あり、年齢的には60歳を超えた先生が名誉職として着任することが多かった。そうした中、A病院の経営者は「今後は慢性期医療の質が問われてくるので、急性期でバリバリ活躍していた先生をぜひ院長に据えたい」という先進的な考えをお持ちでした。

 A病院の経営者の狙いは、(1)急性期病院との連携を深めていく中、急性期の第一線で実績を上げてきた病院長の存在は信頼感を高め、また院内の改革推進(医療の質向上)の旗振り役(象徴)となり得る、(2)質の向上により患者・家族の安心、信頼を得ていくことは地域の中で絶対的な存在となることにつながる(経営安定化)、(3)今後医師の流動化が加速するとみられる中、急性期の実績のある先生が病院長として存在することは医師採用の面でも有利に働く――などといった点にありました。

 「急性期でバリバリやっていた先生が、慢性期に移ることに抵抗を感じることは十分承知している。でも、急性期後のステージの体制を手厚くする医療機能再編を促すべく、大胆な政策転換が図られることで、急性期病院のポストは減少に向かい、腕を発揮できる場が急性期以外にも広がっていく。そうした見通しを持っている先生であれば、職務の変更を後悔されないはずだ。ぜひ先を見通すような感覚を持った先生を探してほしい」。A病院の経営者は、そう強調していました。

 このとき候補者として浮上したB先生は40歳代半ば。教授選に敗れた後、単身赴任で、とある県の総合病院で部長を務められていました。ご専門は外科ですが、初めてお目にかかったときは内科を院内標榜されていました。

著者プロフィール

武元康明(半蔵門パートナーズ株式会社代表取締役)●1968年生まれ。航空業界を経て大手商社系の人材ビジネスに携わり2003年、サーチファーム・ジャパン(株)設立に参加、07年社長就任、17年1〜3月会長。企業トップや医師のスカウトに特化した半蔵門パートナーズ(株)代表を務める。

連載の紹介

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