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「数年待ってでも採用したい」と言われる医師の魅力

2016/05/25
武元 康明(半蔵門パートナーズ)

 当社にエグゼクティブサーチヘッドハンティング)を依頼するクライアントの多くは、マネジメントのポジションに就いていただける医師の方々を求めています。その人選に当たっては、能力やスキルだけに着目するとうまくいかないことが多いと感じています。当たり前のことですが、人としての姿勢や信念がいかに大切であるかが実際の転職例から読み取れます。

 評価される医師の共通項には以下の2点が挙げられます。実例とともにご紹介しましょう。

 一つは「利他の精神」です。利他とは、「他人の利益となるように図ること、自分のことよりも他人の幸福を願うこと」を意味します。社会や他人のことを考えず、自分の利益だけを追求する「利己主義」とは反対に、他人の幸福や利益を図ることを優先する考え方です。

 こんなケースがありました。地方都市の病院で幹部を務めるA先生の事例です。ある案件を申し出たところ、前向きに検討いただき、ほぼ決まりかけていました。ところがA先生から「残念だが、今回の話はなかったことにしてほしい」という旨の連絡が入りました。

 突如、近隣の公的病院との合併が決定したことが辞退の理由でした。こちらから話を持ち掛けた当初、そうした話は一切聞いていませんでしたから、降ってわいたような話だったのだと思います。

 とはいえ、合併はまだ先の話ですし、このタイミングでA先生が辞めても誰に咎められるわけではないでしょう。それでもA先生は、「上の立場にある者として、地域の患者の皆さんのためにも、合併後に誕生した新病院が軌道に乗るまではとてもではないが動けない。それに勤務先にはたくさんの教え子がいる。その医師たちの進路を見届けた後に自身の選択肢を考えるべき」と判断されたようです。クライアントの医療法人理事長はその姿勢、まさに利他の精神に感銘を受け、「2~3年であれば待ちたい」と言ってくれています。

 幹部の立場だからこそ、今動くべきではない――。ヘッドハンティングする立場の私たちも先生の選択を全面的に支持しています。ここで利己的な判断をされる先生の方がかえって心配です。我々はやはりA先生にお声掛けしたことは正解だったと思っています。

 2つめのポイントは「筋を通す」ことです。「道理にかなうようにする、あくまでも道義心に従って進めるさま」を言います。

著者プロフィール

武元康明(半蔵門パートナーズ株式会社代表取締役)●1968年生まれ。航空業界を経て大手商社系の人材ビジネスに携わり2003年、サーチファーム・ジャパン(株)設立に参加、07年社長就任、17年1〜3月会長。企業トップや医師のスカウトに特化した半蔵門パートナーズ(株)代表を務める。

連載の紹介

医師ヘッドハンティングの舞台裏
事業者が求める人材をピンポイントで“発掘”するエグゼクティブ・サーチ(ヘッドハンティング)。本連載では医師のエグゼクティブ・サーチを手掛ける企業のトップが、採用側の病院の事情や声を掛けられる医師の条件、交渉の進め方などスカウト活動の舞台裏を明らかにします。
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