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ヘッドハンターは医師のどこを見ているのか

2016/02/24
武元 康明(半蔵門パートナーズ)

 私どもがエグゼクティブサーチ(ヘッドハンティング)を手掛ける中で、クライアントからよく要望されるのは、「知識やスキルはもちろんだが、人物として優れた先生に来てほしい」ということです。そうした傾向は最近強まっています。

 かつてのクライアントの要求は、高度急性期や急性期を軸とする医療法人が専門性の高い医師を求める内容が中心でした。それが、急性期後や慢性期、在宅医療などにおいて専門性を生かしつつ、ジェネラルに対応できる医師を探してほしいというニーズに変わってきています。

 これから構築が進む地域包括ケアシステムの中で、自院の患者の退院後の生活までを見据えた医療を提供し、マネジメントを行うとなると、院内にとどまらず院外の様々な人たちとのコミュニケーションや調整が必要になります。そのため、専門性以上に、人格や人間性を含めた医師として総合力が問われる時代になってきているのです。

技能習得のベースに「人格」あり
 もっとも、優秀とされる先生方にお会いしてみると、「医師としてのスキル」だけが突出していて人格はどうも……という方はほとんどいないという印象です。そもそもどんな分野でも、技能を習得することと、人格は一体不可分なのではないでしょうか。

 哲学者の西田幾多郎は「知識は理論的思考によってではなく、心身全体を使って初めて得られる」と説いていますし、新渡戸稲造も著書『武士道』の中で「知識は個人の人格に一体化されたとき初めて獲得される」と記しています。

 また、世界的な経営学者であるドラッカーは、暗黙知(経験や勘に基づく知識)の重要性に気づき、「技能は話すことでも書くことでも説明できない。やって見せるしかない。したがって技能を学ぶ唯一の方法は、徒弟修業を経て経験を積むことしかない」と語っています。彼らの言うように、知識が基本的に見えにくく表現しがたい暗黙知なものだとすれば、それを会得するには確かにベース(礎)としての「人格」が必要であり、師を持ち体験的に学ぶしかありません。

 では、どうしたらより多くの学びを得られるのか。自分が師ならどんな弟子に教えたくなるかを考えてみてください。教えを請う真摯な姿勢など指導される側の人間性次第で、指導する側の熱意が大きく変わってくるのは道理でしょう。「人格」の高さが「医師としてのスキル」の高さにつながる部分は決して少なくないと考えられます。

著者プロフィール

武元康明(半蔵門パートナーズ株式会社代表取締役)●1968年生まれ。航空業界を経て大手商社系の人材ビジネスに携わり2003年、サーチファーム・ジャパン(株)設立に参加、07年社長就任、17年1〜3月会長。企業トップや医師のスカウトに特化した半蔵門パートナーズ(株)代表を務める。

連載の紹介

医師ヘッドハンティングの舞台裏
事業者が求める人材をピンポイントで“発掘”するエグゼクティブ・サーチ(ヘッドハンティング)。本連載では医師のエグゼクティブ・サーチを手掛ける企業のトップが、採用側の病院の事情や声を掛けられる医師の条件、交渉の進め方などスカウト活動の舞台裏を明らかにします。
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