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あなたの転職先は「これから生き残る病院」か?

2015/12/22
武元 康明(半蔵門パートナーズ)

 みなさんご存じのように、日本国内に病院は約8500あります。これは世界一の数です。2位は米国で約5700。保険制度などが異なるとはいえ、人口比で考えると、日本の病院数が圧倒的に多いことが分かります。一方で、急性期病床などの需給がアンバランスであるとして、国は病床機能の再編を進めようとしています。

 先日、弊社のエグゼクティブ・サーチ(ヘッドハンティング)により転職がほぼ決まりかけていた先生から辞退の申し出がありました。現在勤務する病院と近隣の病院との統合が急きょ決まったことがその理由です。先生は責任ある立場にあり、「病院や残る部下たちのことを考えると今、外には出るべきではない」と判断されたのです。

4月の診療報酬改定以降、再編が加速?
 この例のように今、全国各地で病院の再編や病棟再編の動きが顕著になってきています。これまでは、都道府県の「地域医療構想」の策定に伴い、2~3年後に本格化するという見方が大半でした。ただ現状から察するに、2016年の診療報酬改定を機に4月くらいから再編が加速しそうな様相です。

 これを踏まえ、私は、ヘッドハンティングで声を掛ける先生たちに「今、先生が在籍している病院はそのままの形で存続するかもしれないし、病院や病棟の再編をするかもしれない。後者の場合、過剰となっている急性期から回復期・慢性期への転換もあり得る」とお話しするようになりました。急性期医療を手掛けたい先生方の勤務環境も激変の様相で、「急性期を継続したいのであれば転職を余儀なくされる可能性もある」、あるいは「急性期以降の環境に身を置かざるを得ない状況になるかもしれませんよ」というようなご説明をすることもあります。

 では今後、医師である先生方がやりたい医療を将来にわたり手掛けることのできる可能性が高い病院はどこなのか。

 医療機関の形態別に見ていきましょう。全国に約1600カ所ある国公立病院は統廃合が現在進行中です。日本の医療は世界トップレベルでありながら(日本の)国立大学病院は国際競争には規模が小さいため、医療産業集積の核になるような大規模医療事業体を誕生させ、次世代に備える案が議論されているようです。

 その推進案の一つとして、国公立病院を広域医療圏単位で経営統合し(地域医療連携推進法人、非営利ホールディングカンパニー型法人)、1000億円規模の医療事業体をつくることも考えられているようです。これにより病院機能の重複や設備投資重複の解消(過剰投資の解消)、患者の取り合いの解消、チーム医療体制の構築、最新設備購入や勤務医処遇改善など多くのメリットも生まれるようですが、現時点ではどの病院が進化していくのかまでは見えていません。加えて、県や地域ごとに環境が相当異なるため、現時点の病院の将来性でいうと不透明と言わざるを得ません。

 では民間病院はどうでしょうか。民間病院の開設者のうち医療法人にはいくつかの種類がありますが、その中でも注目されるのが「社会医療法人」。2008年から都道府県で認定が始まった、公益性の高い医療を担う法人です。今や国公立基幹病院がカバーしきれない部分を担う存在として台頭しており、2015年10月現在で全国に256法人あります。私は、この社会医療法人(ごく一部の地域では公益財団法人や社会福祉法人がこの役割を担う)は、今後成長が見込める法人と位置付けてよいのではないかと考えています。

著者プロフィール

武元康明(半蔵門パートナーズ株式会社代表取締役)●1968年生まれ。航空業界を経て大手商社系の人材ビジネスに携わり2003年、サーチファーム・ジャパン(株)設立に参加、07年社長就任、17年1〜3月会長。企業トップや医師のスカウトに特化した半蔵門パートナーズ(株)代表を務める。

連載の紹介

医師ヘッドハンティングの舞台裏
事業者が求める人材をピンポイントで“発掘”するエグゼクティブ・サーチ(ヘッドハンティング)。本連載では医師のエグゼクティブ・サーチを手掛ける企業のトップが、採用側の病院の事情や声を掛けられる医師の条件、交渉の進め方などスカウト活動の舞台裏を明らかにします。
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